第2話002「異世界デビューは生後六ヶ月」
さて、そんなわけで『チート能力もらって異世界転生する方法』を試したら見事成功した俺は、気づくと雲の上にある祭壇みたいなところに移動していた。
そこで、いかにも神様みたいな老人がいて、そいつが「おお、日本人か。地球時間でいうと二十数年ぶりじゃの」と言っていた。それを聞いた俺は「二十数年前に日本人がここにきたの?」て聞くと、「ああ、来たよ。だから転生させた」と言っていた。驚くほど軽い言い方だったのを覚えている。
その後、スレ主が書いていたとおり、授けられるチート能力を選ぶ『ルーレット』を回すこととなった。神様にルーレットの『当たり』『ハズレ』について聞いてみると「それを教えるとやる気無くすから教えない」と言われた。なるほどと思った。
あと、ずっと気になっていた「この異世界転生というシステムは何なの?」という質問もぶつけてみた。すると「英雄願望、特別願望といった承認欲求のすべてが満たされるシステム⋯⋯それがチート能力を持って異世界に転生するというシステムで、生前にチートで異世界転生を本気で望む人用に作った」と神様は答えた。あと、作った理由については「日本人の発想で面白そうだったから」と言っていた。
なんと『異世界転生』というシステムは日本人の厨二病発想が原点だったらしい。誇らしいのか情けないのかよくわからない感情が俺を支配したのは言うまでもない。
ちなみに発案者でもある日本人は『承認欲求を満たされたい』と思う人が多いらしく、その為、異世界に転生する地球人は日本人が大半を占めるとも神様は言っていた。まあ発案者だからね。承認欲求大好き民族なら仕方ないよね。
あと、自分がここにきたやり方についても聞いた。すると「え? そうなの?」と神様も知らないようだった。普通は死んでから『異世界転生への強い未練が残った人』が来るものらしい。ただ「死ぬ頃には異世界転生への強い未練など残っていないのが大半」らしく、その為、ここにやってくる魂はほとんどいないとのことだった。
それにしても、俺がこの異世界転生をする場所に来たやり方を神様が知らなかったのは驚いた⋯⋯と同時に、「じゃあ、どうやってあのスレ主はこのやり方をみつけたんだ?」という疑問が残ったので、そのことを神様に聞いてみたが「知らん」と素っ気ない答えが返ってきた。神様にとってはどうでもいいことらしい。なので、俺もその疑問について考えることはやめた。
*********************
「ば⋯⋯ばぶぅぅ⋯⋯うぐぐ⋯⋯ばぶばぶぅぅぅぅ!!!!!!⋯⋯⋯⋯ふぅぅ」
おっと失礼。ちょっと用(大)を足してました。オムツ代わりの布の中で。
さて、俺が転生した異世界は定番の『中世ヨーロッパ』風の世界だった。なので、地球にいた頃に比べるとだいぶ生活水準は低いし、現代日本では考えられないような階級社会が存在する。どうしてそんなことを赤ん坊の俺が知っているのかというと、夜中に父親の書斎にこっそり忍び込んでこの世界の歴史や社会文化を勉強したからだ。
何? どうして、そんなことができたのかって?
フフフ、なろう諸君⋯⋯そんなもの愚問というものだぞ? もちろん、それは神様からもらったチート能力のおかげだ。俺はそのチート能力を利用して身体強化の魔法で歩ける体にし、夜中に父の書斎に忍び込んでは本を読みまくっていたのだ。生後6ヶ月にして。
え? どうやって身体強化の魔法を覚えたのかって? そんなもん『ご都合主義』に決まっているじゃないか! まあ、それは冗談で⋯⋯⋯⋯実は神様からもらったチート能力で魔力があることはわかっていたので、あとは『異世界なろう脳』を駆使して、こう、いろいろ試したら⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯できちゃいました!(テヘペロ)
いや、本当びっくり。
まあ、そういう意味では『ご都合主義』と言っても過言ではないな。
ちなみに、こんな感じで身体強化魔法『
——————————————————
『身体強化魔法
1.体内に魔力の存在を確認しましょう
2.魔力を確認できたら、身体中にその魔力を張り巡らせましょう
3.魔力を張り巡らせたら、魔力を循環させましょう
4.魔力を循環させることができたら『
5.すると、あら不思議。生後六ヶ月の体で歩けるように!
——————————————————
ちなみに、
他にも、この身体強化魔法
もし、俺のいる
*********************
そんなわけで、俺は生後六ヶ月から勉強を始めた。
さて、俺が転生したこの世界もまた異世界
まあ、イメージとしてはよくある異世界ものと同じで、物理攻撃よりも魔法攻撃のほうが攻撃威力も攻撃範囲も高く、それ以外にも『治癒』や『効果付与』など幅広い効果を魔法は与えることができる為、魔力の多い者は実戦としての力も、権力としての力も持っているらしい。
なので、この世界で権力を握っている王族や貴族は皆、魔力や魔法に長けている者達が占めており、その下にいる一般市民⋯⋯ここでは『平民』と呼ばれているが、その者たちは魔法がほとんど使えない為、王族や貴族には逆らえないという完全な階級社会が出来上がっていた。
ただ、国によっては階級社会じゃないところもあるらしいが、基本ほとんどが階級社会の世界であることは間違いないようだ。
つまり、魔力の多い者であればこの世界ではいろいろと『好都合』であるということ。
そして、俺はその『好都合』に乗っかれるだけのチート能力を備えているということ。
「ばぶ、ばぶぅぅぅ⋯⋯」
俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます