怪盗淑女サンドラ 〜盗めない宝石〜
翔田美琴
輝きを失くした石に制裁を
真夜中。三日月が浮かぶ夜。妙な生温い風が吹く部屋で、ある男が必死になって命乞いをしている光景が見える。
相手は巷ではこう呼ばれる。
宝石泥棒サンドラ。または怪盗淑女サンドラ。
彼女は男に問うた。
「あなた、涙は流せる?」
「何を言っているのかわからない」
「そのままよ。涙は流せるの?」
男は沈黙した。
涙は流せないという意味だろう。
サンドラは残念そうに息を吐いて、何時もの台詞を怒りを込めて言った。
「輝きを失くした
「ぎゃあああっ!!」
男は断末魔の悲鳴と共にサンドラに短剣で刺され、心臓を抉り出す。
人間とは明らかに違う。
それは血にまみれているが宝石だった。
その宝石はこの異名を持つ。
『永遠の闇』のブラックダイヤモンドだった。
高笑いをするサンドラは、警察官が来ると華麗に微笑み、手品のようにその場から文字通り消えていった……。
バタバタとうるさい足音を立てて来たボイド警部はカンカンに怒り悔しさを露わに吐き捨てた。
「クソっ!宝石泥棒サンドラ!このワシの目の黒いうちに絶対に逮捕してやる!!」
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