第19話 ハプニング その2(竜也サイド)
僕の心から出た言葉に、彼女はとても驚いたようでした。
『…そうよ。私の片目、生まれた時からこの色。そして、あまり見えないの。あなた、怖く無い?』
僕は
「全然。俺…オッドアイの人なんて、リアルで初めて見たよ。」
シェリーが自分の瞳を”怖い”と表現することから、彼女は片目が違うだけで苦労してきたのだと推測される。そんな目を綺麗だと言われたのだから、きっと嬉しかったと思う。
(あ…いくら夏とはいえ…、女の子をこれ以上このままにしておけないな…)
僕はシェリーのオッドアイに見惚れて、彼女自身が何故ここにいるかを忘れていました。
「そ、それより…。シャワーは…しないのか?その…目の
『はっ!あ。はい!入ります!』
シェリーは顔を赤らめて、お風呂へ入っていきました。そしてすぐにシャワーの出る音が室内に響きます。
(なんかシェリー…顔が赤かったような…)
そう思いながら、洗面所を出ようと歩き始めて気づきました。
(やっべ…、僕の息子…。バッキバキじゃねぇか!うわ…超はずいじゃん…)
僕は足早にその場からリビングへと移動する。そしてすぐテレビそつけて自分の意識をなんとか逸らせようと試みました。しかし、一度見てしまった彼女の体が頭から離れません。
(おっぱい…おっきかったな…。やっぱり年上…だよな。あんな事があったし…嫌われたよね…きっと)
アニメではよくあるラッキースケベというものだったが、リアルでこれをやってしまうとこんな雰囲気になるのだと強く思いました。そんな自分の意思とは関係なく大きくなったままの下半身が元の状態に戻るまで、僕は無心でテレビを見続けました。
数分後…。
『サンキュー、タツヤ』
「あぁ…どういたしま…うわ!」
テレビに夢中で浴室から戻ったシェリーに気づくのが遅れた僕は、振り向いた瞬間の彼女に驚いてしまいました。
彼女はメガネをかけていて、長い髪はぐるぐる巻きにしたタオルの中に包んだ状態。衣服は黒いTシャツにジャージ素材のズボン姿。ただ、どう見ても上は下着を身に着けていないように見えたので、僕はふいに彼女から目を逸らしてしまいました。
『?。どうした?タツヤ。』
「い…いや、その…、外国の方って、寝る時はいつも、そんな感じなのか?」
『ん〜ん。いつもは、何も着ない。寒い季節は、着るです。』
(まじかよ!!)
日本でも裸や下着のみで寝る人がいると、テレビの情報で知ってはいたけれど、アメリカ人はそんな人ばかりなのかと、僕の脳内はフル回転で想像力を働かせます。
「そ…そうか。いや、ごめん。なんか、こうゆうの初めてで…、文化の違いっていうか。」
僕は何とか冷静さを取り戻そうと必死でしたが、シェリーは積極的に僕へと近づいてきます。そして僕の座るソファーの横を指差しました。
『横、良いかな?』
「どっ…どうぞ!」
シェリーは微笑んで僕の横に座りました。そして、僕の顔を横から覗きこんできました。
『緊張、してる?タツヤ。』
「そ…そりゃ、き、緊張する。女の子、母さん以外であまり来ないし。」
僕は動揺して言葉の選択を間違えました。『あまり』なんて使ったら、全くのゼロにはならない。案の定、シェリーは何かを察したようでした。
『ふぅーん。誰かは、来たこと、あるですか?』
シェリーからの質問に、自分の失言に誤魔化しは効かないと思ったので、ここは正直に話そうと思いました。
「小学校から…一緒だった人が…、たまに来るんだ。父さんが死んでから…かな。母さんがいない時に、ご飯とか持って来てくれる。」
すると、彼女の目が一瞬下向きになるのが見えました。シェリーが何を考えているのか僕は分かりませんでしたが、僕はどうしてもひとつ謝っておかなければならないことがありました。
「あの…。さっきは…ごめん!」
『?。どうしたタツヤ。あの時は、もう謝った。もう、怒ってない。』
「そうじゃないんだ…」
あと一歩、その勇気があれば、彼女と仲良くできそうな気がした。そのためには、彼女へ全てを正直に話して、彼女が要望したものを無条件で受け入れようと思いました。
『タツヤ、言えないなら、無理しない。』
シェリーはそう言って、僕の頭を撫でてきました。僕は自分の人生をかけた大勝負に挑みました。背筋をピンを伸ばし、彼女の方向へと上半身を90°回転、ソファー に座りながらではあるが、全力の土下座スタイルです。
「あの…。本当は…おっ…おっぱい…。見ちゃいました!ごめんなさい!」
『え?…』
その瞬間、辺りは室内がテレビから流れる音のみになりました。もはや彼女の顔を見る事はできません。多分、すごく怒っているに違いありません。しかし、あまりにも沈黙が長いので、少しだけ顔を上げてみました。
シェリーの顔は真っ赤でした。
「あの…。」
『見たのね…。』
僕がもう一言かける前に、シェリーも口を開いてくる。
「は…はい!何でもしますから、許してください!」
僕は再びソファー型土下座姿勢に戻った。もう何を言われてもそれを肯定するのみです。しかし、彼女の口からとんでもない言葉が飛び出ました。
『なら…。私…結婚してください!!』
「はい!分かりました!…ってえええ!?」
一瞬でその場の空気が再び凍りつきました。僕も驚いて土下座姿勢からシェリーを見上げます。彼女は最高潮に顔を真っ赤にさせて、体を震わせていました。
(シェリー…今…なんて言った…?)
確かに結婚と聞こえた。聞き間違いではない。そして僕はそれを全力で受け入れた事になる。
彼女はずっと何かを考え込み、心の声が口に出ている事すら気づいていない。(英語だけど)ならばここは僕が、
「私…。」
シェリーが何か言いかけましたが、僕はそんなのお構いなしに彼女の手を掴みました。
「今は…僕は14歳だから、結婚は出来ないけど、約束します!18歳になったら、シェリーを迎えに行きます!だから、ぼ、僕と、付き合ってください!」
『ひゃ…ひゃい!』
僕は全力で彼女へ自分の気持ちをぶつけました。そんな僕のアタックに押されてか、ちょっぴり変な返事が彼女から返ってきました。そして考えなしに言ってしまったので、自分の年齢を1歳鯖を読んでしまった事にあとで気づきました。
(僕…まだ誕生日来てないから13歳じゃね?)
あとで聞いたところ、シェリーと僕は歳が同じだと分かりました。どの道結婚まで4年掛かることに変わりないのですが、ちょっとホッとしました。
そんなシェリーはうちに2泊した後、アメリカへ帰っていきました。その間に何があったかは、また次の機会に話そうと思います。
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