第8話・魔物、大量発生




イクリーナ城壁外


「なるべく魔物達を近づけさせるなぁ!

時間を稼げその命に変えても!」


「はい!」


味方達全員が言う

これは時間を稼ぐため、倒すためでは無い

勝てないと分かりきって無理だと分かって…


そして、戦いが始まった次々と冒険者達や兵士、騎士達もその中には、この2人の姿も。




「クリス!」


「はい!」


『我・氷風ひょうふうの精霊と絆深き者・今此処にその力を顕現せよ【氷暴風アイスストーム】』


ドゴォォォォ


「な、なんだ!?あの魔法の威力!」


とんでもない威力で魔物やモンスターを吹き飛ばしていく


「レナ、長くは持たないわ!」


「あぁ、分かってるさ!」


魔物達は寒さで動きが鈍くなっている

ほとんどの魔物やモンスターは寒さに弱い。

寒さに強い物もいるがほぼ全てが、寒さで明らかに鈍くなっている


「武技・波衝斬はしょうざん!」


レナが剣を地面に叩き付ける

同時に地面が割れ、どんどん前に向かって斬撃が飛んでいく


だが


「ちっ、やっぱり数が多すぎるやっぱり命はって時間稼ぎしかできないみたいね」


あちこちでもみんな戦っている

犠牲者も次々と出ていく


『我・火の精霊と絆深き者・今此処にその力を顕現せよ【火壁フレイムフォール】』


「はぁ、はぁ、これで……少し…は時間を稼げます!」


「ミシア、無理しないで」


魔力・それは、魔法を発動するのに必要不可欠なもの

魔力を使って攻撃する攻撃魔法と違い

常時発動型広範囲防御魔法

は、魔力を使い続けないと魔法が維持されなくなってしまう。



「なんだ?このちっぽけな炎は?」


「な!?お前は!」


「やぁやぁ、俺はのフレイムだ!名の通り炎魔法が得意だぜぇ?」


魔族・この世界には魔人族まじんぞくという種族がいるが、魔族は根本的には魔人族と何も変わらない、だが稀に魔素を大量に取り込み、凶暴になる者がいる、それが

魔族だ。

魔族は、そこら辺の魔物達とは違い、人と同じ高い知性を持ち、膨大な魔力量、剣、更には、魔物しか使えないはずの、種族スキルが使える。

大昔・魔族1人で大陸1が滅んだという。その時は、大量の犠牲者を出しながらも全世界で連合を組み何とか倒したと言われている。


「なぁ火壁フレイムウォールってのはこうやって出すんだよ!」


無詠唱で、ミシアが発動したフレイムウォールを何十倍もの威力で出した


「おっ、いっけねミスって前の方にいた魔物達も焼き払っちまった」


「ば、化け物……」


「化け物だァ?ここの更に下

地下世界・獄炎。ではこんな威力普通だってよ。炎魔法ってのはこういうものを言うんだ、ぜっ」


今度はとんでもないスピードで横を通り過ぎる炎を出した。後ろにいた冒険者や騎士達を吹き飛ばしていく



「い、今のはなんだ!?」


「何言ってんだ?火玉ファイアーボールだよ」


(い、今のがファイアーボールだと!?信じられない。1人で大陸を滅ぼしたあの話は本当だったのか?)


「最近な、剣も少しかじってんだけどお前相手してくんね?」


魔族の腰には、剣がある。見た目は凄いが

どうやら地下世界にも剣はあるようだ


(こんな奴と剣で闘う?無理だ絶対負けるこんな奴に勝てる訳ない……)


「なぁ俺イライラしてんだけど早く決めてくんね?」


(………)


「あ、あぁ受けて立とう」


「おい、そこの女、お前が合図しろ、もちろん、これは決闘兼殺し合いだ、そこんとこ間違えんなよ」


「は、はい!」



「今からフレイム様とヘレイナラの剣術決闘を開始します。両者魔法の類いは禁止。決着はどちらかが……し、死亡するまで」


「お前たちにはハンデが必要だからな魔法程度なら使わないでおいてやるよ。逆にお前は使えばいい」


「へっそれはありがたいね」


そして2人が構える


「それでは、開始!」


始まった瞬間フレイムが……

フッ───


「!?」


「おらよ!」


ガーーーン


ビキビキ、


「な、何だこの威力……」


レナの剣にはヒビが入っている


「うーん加減はしたんだがなぁ。

よし、次はお前からやってみろ」


(決闘のはずなのに相手は私が立ち上がるのを待っている)


「わかった、私の出せる限りの剣の技を見せてやる」


「ほぉ?」


(せめて、一太刀入れてやる)


『我・無の精霊の加護を受けしもの・今此処にその力を顕現せよ【身体強化・極】』


レナは今まで生きてきた人生で1番集中している。今までの努力をこの一撃に全て乗せる勢いで


「スーーーーハァーーー」


レナの周りに無の精霊が集まってくる

そして、剣のオーラを出す


「ハァァァァァア。武技・豪剣!!!」


ガーン


バキバキバキ……


「っ!剣が」


パキン!


「……いい一撃ではあったが俺には叶わなかったみたいだなぁ……さぁてお前を殺そうかなぁ……」


魔力もさっきの一撃に乗せて放ったため動けない


「さっさと殺せ!」


「……そうだ!」


と言いながら


「きゃああああ」


頭を掴んだ


「!?お前何をするつもりだ!」


「お前はこいつを守っていたからなぁ。お前にとって大事な大事な人なんだろうよ、そんな人を目の前で殺されたらどんな反応をするのかなぁって思ってなぁ」


「このクズが!!」


立ち上がろうとしても立ち上がれない、魔力は人を動かすエネルギーでもあるそれが急激に減れば立ち上がれない

魔法使いならともかく、魔法を使う機会の少ない剣士は一度に大量の魔力を使うとこうなってしまうのだ


グサッ


「痛っっっ!!」


ミシアを刺す。他にも次々と色んなところを刺していく


「1度にでは無くゆっくりと、少しずつ少しずつ刺して言ってお前の目の前で助けることも出来ずゆっくり死んでいく姿を目に焼き付けておけよォ?ひゃぁっはっはっは!」


「クソがァァァァァァ」


(私は、ミシアを助けられない……誰か……ミシアを……………助………けて)



そこに…誰もが落ち着き冷静で優しい声で─





















【武技─聖二閃】


「ひゃぁっはっはっ………っ!?」


ザシュ─────ザザッ


魔族が後方にジャンプした

2回中の1回でミシアを掴んでいた右腕と右耳、もう1回で左腕を切り落とした


そしてレナが


「お、お前は!!─────トハン!」


━━━━━━━━━━━━━━━


「まずいな、血が大量にでている早く治療しないと」


ミシアは激痛で気絶している。

このままじゃあ失血死してしまう


「ど、どうするんだ?私は、回復魔法は使えないぞ?」


「そんな慌てなくても大丈夫だ安心しろ」


そして俺は無詠唱で回復魔法の頂点に君臨する

完全超回復パーフェクトヒール】を発動した。効果は生きてさえいれば、四肢が吹っ飛んでようが下半身がなかろうが、超強力な呪いだろうが、心臓と脳さえ無事なら全てを治す魔法である


「さぁ治したここは俺に任せてお前達は下がれ」


「で、でも……」


「ハァー……正直言うが、邪魔なんだよね」


少し強めに言った


「は、はい!分かりました!」


ミシアを抱え走っていく


「さーて魔族さん回復は済みましたか?」


魔族のフレイムは、腕と耳を再生していた


「はぁはぁ、フッ!不意打ちして、ハァ、そのままトドメを指していれば、ハァ、お前も勝てたかも、フー、しれないなぁ」


と、回復の為に力を相当消耗したらしい。

そう、魔族の唯一の欠点、それは、光魔法系統の技、もちろん回復魔法なんて使おうもんなら逆に消滅してしまう。だから魔力を凝縮しそれを肉体の細胞えと変換していく。この作業でとんでもない魔力を消費する。いくら大量に魔力を持ってようが流石に疲れる。

まぁ普通、魔族は硬すぎて切れないからこんなことはほぼ無いけど


「何言ってんだ?お前、地下世界含め腕切られたことある?」


「な、ないが?」


「そんなご自慢の腕を簡単に切り落とした俺は如何に?」


「チッ、調子に乗りやがって」


火槍ファイアランス


水壁ウォーターウォール


「クソっ」


さっきの回復で威力がだいぶ落ちている


「さーてそれじゃあ、」


【強烈な【怒り・殺意】の感情を検出しました。【感情強化】を発動します】


「ミシアにあんな事をした報いを受けてもらおうか」


ドゴーーーン


殺意によるオーラや他の力が入り交じりオーラだけで、とてつもない音が鳴り響く


(な、なんだ!?体が動かない!いや動けないんだ、まさかこの俺がこいつに【恐怖】しているのか?この俺が?獄炎でもトップクラスのこの俺が?いやそんな訳ないこの俺様ガコンナカトウセイブツニ!!)


『我・火の神の力を奪う者・今此処に火の神の力を解放せよ!【火之迦具土神ひのかぐつち】』


(へぇ、火属性、超上神級魔法か、ならお返ししてやらないとな、ついでにあいつの後ろにいるとんでもない数の魔物達も吹き飛ばしておくか。それと一応詠唱しとくか、何となく)


そして俺はさっき色々と作っておいた杖を構える

【我・炎の精霊王と契約せし者・今此処にその精霊力を顕現せよ【神霊炎ゴッドガイストフレア】】


ブォォォォォォ


そしてゴッドフレアを出した瞬間、あいつの火之迦具土神は、燃えてるものに燃えてるのは少しおかしい気がするがそれが神霊炎、魔法だろうがなんだろうが効果はあらゆるものを燃やす


そしてゴッドガイストフレアはとんでもない威力になって飛んでいく………


「あーちょっとやりすぎたかな、」


【称号・魔物の殺人鬼・魔物の天敵・モンスターの殺人鬼・モンスターの天敵・魔族殺しを獲得】


地面は抉れ、山は吹き飛んだ

そしてそれを後ろから全て見ていた生き残った冒険者達と兵士、騎士、聖騎士は


口を開けて唖然としていた


ちなみに俺がこんなにも落ち着いているのには理由がある。


━━━━━━━━━━━━━━━


俺は走りながら


(急がないとみんなが!)


【いえ、危険度はSランクですがマスターは神なのでこの位は楽勝かと…】


(え?そうなの?)


【はい、多少能力が縛られようが神力はまだありますし】


(でも死者が出るよなぁ、そうだ!この闘いで亡くなったものは、次の人生でめちゃくちゃ良い人生を送れるようにしよう)


━━━━━━━━━━━━━━━


という訳だった、すくなくともミシアはこの世界じゃあとんでもない魔法の威力それでなんとなくの場所がわかった




【報告・ほぼ全ての封印は解除しましたが少々問題が発生しました】


(え?)


【ゴッズスキル【魔力無限・神速】が使えなくなりました。それと少しスキルに制限がかかりました】


(は?)


【以上】


(えぇぇ)


ま、いいかどうせこの世界じゃあ本気だすことなんてないと思うし(あの魔物大量発生事件ではほぼ力を出していなかった)


んなこたァいいんだけど、俺のあの魔法を見て俺の噂がどんどん広まっていく、登録して3日で




SSランク冒険者になったと


【称号・SSランク冒険者を獲得】


この世界は普通、そのランクに見合わない、強い魔物や依頼を達成してしまった場合隠匿して極秘りに上げやすくされるなどがあるが、目撃者が1000人を越えていると隠匿なんてできない、ましてやその強さを知る人がいると、ランクを上げざるを得なくなりこうなった。え?仮面とフードはどうしたんだって?

サトが勝手に外しやがった、あの仮面被ってても違和感ないからついてるかついてないか分からない、まぁサトは


【SS冒険者になったならいいことがありますよ】


とは言っていたが他に理由がある気がした。

まぁそんなことはいいとして

都市は復興を始めている。

俺の吹き飛ばした山や、森は俺が自然魔法を使って戻した。他の冒険者は新しく出たSSランク冒険者目当てに沢山来るようになった


「レイナちゃんごめんねこんなことになっちゃって」


「いえいえ私たちは大繁盛でとても嬉しいです!」


休心宿はSS冒険者が泊まった宿と人気になり、一瞬でまんぱんになったと言うことらしい


「レイナちゃん、迷惑料としてこれあげるよ。これからも頑張ってね!」


俺はレイナちゃんの手の中に白金貨を入れて、空間転移をした

レイナちゃんは何か言っていたがよく聞こえなかった


にしても神速を封じられたのは痛いな、神速から見たら下位互換の超加速なんてありんこみたいなもんだしなぁ、移動は基本的に空間転移になりそうだ、ただ空間転移は1度行った場所にしか行けないから不憫だ

ま、どうせのんびりこの世界を満喫する予定だったしいいか、

そう思いながら次の街に向かう、次の街はどうしようかな……


よし、決めた、次行く場所は!

「商業都市・ザンツブルグ」

だ!

……あれ?何か忘れているような



???


「魔族が出現したのに倒されてしまうとは、あいつめ、しかし我々はしばらく手を出せない、私たちは力を蓄えようではないか!」


「御意」


裏で動く組織、なんの組織なのだろうか





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