-閃光-
-街道
「-……?…っ!?
総員、《フラッシュガード》ッ!」
一瞬、イレツ森林の中心から強烈な《シャインオーラ》を感じた俺は全員に指示を出した。
ーそして、数秒後に閃光が収まると先程まで退治していた《モンスター》達は、一体残らず消えていた。…今のは。
「…どうやらあそこには、強力な《味方》がいるようだ。
-全員、移動準備っ!」
俺と同じく森を見ていたニーナお嬢は、即座に指示を出した。
『…っ!イエス、マイロードッ!』
すると呆気に取られていた部下達は、即座に整列して馬車に乗り込んで行った。
「ー…もしかして、『彼』ですかね?」
「…間違いないだろうね。…ただ、『枷ある身』の彼が一体どうやってー」
馬車に乗りながらそんな事を話していると、《通信器》が鳴る。
『ーこちら二号車。全車両の準備、整いました』
「一号車、了解。
あっ!隊長、副隊長お疲れ様ー」
『ーカァーーーーッ!』
馬車に待機していた部下が敬礼した直後、外から特徴ある鳴き声が聞こえて来た。…おいおい、『これ』って……。
「た、隊長っ!」
「…全隊に待機指示を」
「…っ!イ、イエス・マイロードッ!」
お嬢は部下に指示を出し、素早く馬車を降りたので俺も慌てて続いた。
「…っ。凄いですね…」
「…ああ」
お嬢と俺は上空を見て、呆気に取られた。
ー昼時にも関わらず、深紫のカラス達…《ミニュイクロウ》の大群が騎士団の頭上に結集していたのだ。
そして、《彼ら》は地上に次々と降りて来た。
「ー…『行くな』って、事ですよね?」
それはまるで、『進路』を塞ぐように降り立っているようだった。
「…仕方ない。
ー全隊に通達。《彼ら》が『通行許可』を出すまで待機せよ」
「っ!…イエス・マイロードッ!」
「…はあ、まさか生きてる内に《眷族》を見られるなんて思いもよらなかったな」
「…ですね(…たく。…タクトと『彼』は一体どうゆう宿命を背負っているんだ?)」
俺は空に向かって、答えが返って来ない問いをするのだったー。
☆
-最後の《発生源》の近辺に到達した瞬間、俺は即座に後ろに跳び退いた。それと同時に、足元に淀んだ光を放つ《魔法陣》が浮かび上がり、そこから赤い粘液のようなモノが吹き出した。
「《ウィンドフライ》」
直ぐに上空に待避し、地上を見下ろす。粘液は、周囲の草を飲み込みながら周囲に広がっていった。…どう考えても、降りたらアウトだろう。
そんな考察をしていると、強引に下へと引っ張られるのを感じた。《闇聖系統(ダークスタイル)》の《重力(グラビティ)》だろう。
-……ふむ。
《対策》が《イメージ》出来たので、早速実行に移す。
「《ノーマルキャンセル》。
ー《アブソリューションフォース》、《ダークマナ》。…《シンクロ》」
言葉を紡ぐと、深紫と銀が融合していった。
「ー《カオティックドライブ》」
深紫の外殻の銀の光を纏うと、引っ張られる感覚が消えた。…後は-。
「《カオティックキャプチャ-》」
手に意識を向けると、小さな紫の《腕》が掌に現れた。それを、《粘液》に向かって放つと《粘液》は地面から引きはがさされるように、空中に浮いた《腕》に吸い込まれていった。
「《カオティックプレート》」
念の
だが、姿どころか《気配》も感じなかった。…《幻》が薄くなっているのに、《これ》でも探せないって事は……。
俺は《プレート》に触れ、目を閉じた。…ある《方法》を思い付いたからだ。
「-《カオティックチェイス》」
まるで知っていたかのように、自然と言葉が紡がれていた。…要するに、《ダイバードック》-シャルのやり方を真似ているのだ。
-…違う。……これも違う。…これも、これも。…くっそ、何処だ?
どういう訳か《ダミー》があったが、全てスルーして本物を探した。
-…あ、居た。
口角を吊り上がるのを感じ、その《地点》と自分の《地点》を《リンク》させる。
「《カオティックバインド》」
目を開け《影の鎖》を伸ばし、頃合いをみて左手を添える。
「《カオティックゲート》」
「-っ!?」
《プレート》に小窓サイズの《穴》が開くと、『地面』に倒れ込んでいた陰キャ野郎と目が合った。…状況が理解出来きて無いのだろう。
なにせ『地面』に《穴》が空き、そこから俺の顔が『空と共に』見えているだろうから…。
「《カオティックフォール》」
間髪入れずに、言葉を紡ぎながら《鎖》を軽く引く。すると陰キャ野郎は文字通り、《落っこちて来た》。
「《カオティックハンド:モア》」
《影》で小さな手を複数作り、《穴》からほうり出された彼をキャッチさせた。
「《アウェイクハンド》」
そして、間髪入れずに彼の背中に《手》を押し当てた。
「…っ!?……」
ーそして、気絶した彼の周囲に《シェルター》を展開しすぐ近くにある不気味な人形の前に立つ。
「ー《カオティックプレス》」
右手を上げ言葉を紡ぐと、銀と紫の《球体》が右手に出現したのでそれごと右手を下ろす。
すると、途端に人形は《球体》に引き寄せられ、中に吸収され瞬時に跡形も無く消え去った。…お。ほぼ完全に元通りだな。
周囲に目を配り、
-…って、あそこかよ……。
目と鼻の先にあった『意外な場所』に、俺は唖然としてしまった。
-そこには、『狩人の小屋』があった。…つまり、《檻》はあそこを中心として発動しているのだ。
俺はゆっくりと、そこに近付いて行く。…と、その時。…やる気か。
濃密な《イリーガルオーラ》を肌に感じ、その直後に小屋のドアが静かに開いていった。
「………」
中から出て来たのは、《ダンジョンキーパー》のダンさんだった。
「ー《ノーブルシールド》」
直後、彼は目の前から姿を消したのですかさず防御を整える。…お、マジか。
すると、背後に現れた彼はバカデカい斧でシールドを攻撃した。…その瞬間、シールドに亀裂が走った。
そして、彼はまた斧の刃をシールドに叩きつける。
「《ノーブルバインド》、《カオティックバインド》」
しかし、直前で二種の《鎖》が彼を拘束しその動きを止め……ー。
「(ー…うわ、面倒臭……。)《ウィンドフライ》」
なんと、彼の全身から禍々しい《刃》が飛び出し《鎖》を断ち切ったので一旦上空に退避する。…さて、どう攻略ー。
彼に意識を向けながら思考を始めた矢先、彼は再び消えた。…そうか。《あれ》をベースにしてるかも知れないのなら《行ける》……っ!
閃いた直後、不意に身体が《下に引っ張られ》始めた。
「(…うん、《決まり》だなー。)…《アブソソリューションフォース》、《シャインマナ》、《シンクロ》」
言葉を紡ぎ、銀と純白のオーラを融合させる。
「《ブリリアントドライブ》。
…《ブリリアントシャワー》」
直後、灰色の空に眩い輝きを放つ《雲》が広範囲に展開しそこから《浄化の雨》が降り始めた。
「ーっ!?」
すると、ダンさんは地面から飛び出し小屋に退避しようとする。…しかし、既に小屋は《雨》によって《元に戻って》いた。
「……っ。………」
そして、ダンさんを包み混んでいた《イリーガルオーラ》も徐々に薄れ始めた。…さて、仕上げと行こうか。
俺は地上に降り、彼の元へ向かう……が、その途中彼が『何か呟いて』いた。
ーそして、『言い終わる』のと同時に途端に目が光り出した。
『ーゼッタイニワスレナイ』
…っ!
不意に《何処から》カタコトの電子音声が聞こえたかと思ったら、彼から《何か》が転移して行った。…おいおい。まるで《アレ》のようじゃないか。…っ!
呆気に取られていると、徐々に《結界》が消えていくのを感じた。多分、『本体』が逃走したから維持が出来なくなったんだろう。
そして、数分後には《檻》は跡形も無く、消えて無くなった。…ふう、疲れた。
「-カァーーーーッ!」
一息ついていると、森から一羽の《ラニュイクロウ》…ミリュー氏が飛んで来た。
(《オ疲レ様デス、タクト殿。…イヤハヤ、オ見事デシタ》)
(《ありがとございます。…まあ、-敵-は取り逃がしてしまいましたがね》)
(《イヤイヤ、-撤退-ニ追イ込ンダノデスヨ。…ット、タクト殿-アチラ-ヲ》)
…うん?……あ。
ミリュー氏と同じ方向を見ると、複数の馬車が近付いて来るのが見えた。
(《ドウシマス?-入レ替ワリ-マスカ?》)
(《…そうですね。お願いします》)
「(《了解シマシタ。…ー》)
ーふう」
ミリュー氏と俺は直ぐに《入れ替わり》、ついでに俺は横になる。
…《スリープカーズ》。
そして、念のため《睡眠ガス》を発動し眠むるのだったー。
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