Vtuber準備編

第27話 Vtuber準備編 1

配信が終わる。俺は友人達と二次会とかしようと考えていたのだが流石に身体の限界が来ており、また今度ということになった。俺はガッツリ大会に参加して徹夜してしまったがうちの彼女様はどうしているだろうか?俺は寝室へ行く。するとUNカップの配信を付けたまま寝ている菜璃の姿があった。

「遅くまで応援ありがとね。ただ、俺のベットを独り占めするとは良い度胸だな……まぁ、いっか」

少し先に寝てしまっている彼女様にキレそうになったが抑えて彼女様の寝顔を存分に堪能する。

するとMickeyから電話がかかってきた。

『はい、こちら空愛ですがなんすか?』

徹夜明けに電話ってなんだ?急用あったっけか……あっ、仕事の話か?

『大会お疲れ様。暴れまくってたな』

『そっちこそ運営と実況おつかれ。まぁ、世界MVPなんで。えっと……仕事の話?』

『ああ。早めに言っとこうと思ってな。俺が紹介する仕事は3つだ』

『3つもあるのか』

3つ……1つあれば良い方と思ってたんだけどな。

『一つは選手復帰。2つ目はうちのスタッフ』

『んーやるなら2つ目かな。で、3つ目は?』

Mickeyが言った2つの仕事は大体予想通りのものだった。ただ……。

『魔導協会第3部隊隊長天空海だ』

『……は?』

魔導協会第3部隊隊長天空海?

『どれにする?』

『いや、1つやばいのあるだろうが!!なんだよ、魔導協会第3部隊隊長天空海って。なにそれ?』

『いや、やっぱりお前と遊びたいって世界大会メンバーが色々駄々をこねてな。あと、コスプレガールズも』

『えぇ……』

あの、それ俺じゃないと駄目なやつよね……。

『大人気だね!!空愛くん!!因みに副隊長は君の彼女だよ!!』

『……許可は?』

『もう取ってる』

『……』

外堀埋められとるぅぅぅ。Vtuberになるしかなくなっとるぅぅ。

『あの、ちなみに俺が魔導協会に行かなかった場合は……』

『大変俺たちに迷惑をかけることになり、名前変えて他の誰かに渡すしかないな』

つまりはやるしかないんですね。分かりました。

俺は選択権を与えなかったMickeyに軽く殺意を覚えながら承諾した。

『……Vtuberやらせて頂きます』

『いやぁ〜話がわかるね空愛〜。まぁ、この頃魔導協会っていうかVtuber自体勢いがなくなってきてるから頑張れ。一応契約について今話してもいい?』

今契約の話?この大会終わって脳みそ死んでるときに?

『俺が眠くて頭回らないのを良い事に色々押し付けようとしてないか?』

『全然っ!!』

Mickeyはすごく楽しそうに言う。

絶対何か押し付けようとしとるだろ……。

『はぁ……まぁ、いいよ。設定プリーズ』

『設定言うな。魔導協会の経営が少し危うくなってるからUNのStreamerとコラボさせまくろうって話があるんだ』

『はぁ』

『で、その橋渡しとして空愛にはUNと魔導協会どっちも所属してほしいのよ』

『は?意味わからんのだが』

魔導協会のVtuberになるってわけではない?

『お前が今回のUNカップで大活躍したせいで世界の一流チームがお前をスカウトしたくてうずうずしてんだよ。つまり、お前の給料払うのに片方の会社だけじゃ負担がでかすぎるって話だ』

給料?俺がやばいプレーを見せた?

『あー俺が世界トップクラスの選手だから他のチームとかに行かないように金で縛ろって話?』

『そうだ。そこで万が一にもお前が何処か行かないように金で縛るしかないという判断での2箇所所属』

『そうなんすか』

マジか……まぁ、俺は金があるし選手はメンタル死ぬから絶対に復帰はしないんだが。

『まぁ、2箇所所属の件に関しては給料高くてUNにも色々言えるって考えてくれればいい。魔導協会の上下関係知ってる?』

『え?確か部隊ごとを普通の会社の部署として扱って下がやらかしたら上が責任を負うように隊長が隊員の責任を負うことがあるだっけか?』

『そうそう。誰かがやらかしたら全体責任で同期なのに上下関係があるってやつね。だから他部隊とコラボする時は面倒くさいんだけどそれのお陰で良い感じにタレントを縛ることが出来てる』

『オーナー怖すぎぃぃ』

タレント縛るって何?怖すぎるんだが……。

『まぁ、第3部隊の誰かがやらかしたらお前にも飛び火するから気をつけろよ。で、隊長であるお前の上司は俺な』

『はぁ、了解。絶対徹夜明けにする話じゃねぇな』

Mickeyが上司ね……まぁ、選手の時もそんな感じだったしいいか。

『まぁ、そうだな。後は……お前の体についての話するか』

『イラストってことか?てか、もう出来てるのかよ』

『まぁ、お前は確実に第3部隊隊長として仕事してもらう気でいたから』

『えぇ……』

『で、お前のママはUNStreamerのRumiだから』

『……ん?ルミルミ?』

『お前が軽くコーチングしたルミルミ』

ルミルミ何やってんですか!?え?あの人が私のママ?マジで理解が追いつかないんだが……。

『良くルミルミ引き受けたな。てか、イラスト書いたからあの人あんなに俺がUNに戻ってくる発言してたのね』

『多分そうだろうな。まぁ、イラストに思いがこもってるんだろ……今送った画像がお前のVtuberとしての姿だ』

送られてきた画像は黒い髪と青い目を持つ高身長のイケメンで第3部隊の制服であろう黒をベースに白のラインが入った服を完璧に着こなしている青年とショタだった。もう一度言おう。ショタだった。

『(ΦωΦ)ホウホウ……!?あのなぜショタ差分があるんですかね……』

『ルミルミの趣味だ』

『……』

ルミルミマジすか。てか、こんなショタ差分どこで使うのよ……。

『えっと、まぁ、色々と話したいことはあるけど了解。メンバーとか決まってるの?』

『ああ。隊長お前、副隊長お前の彼女、隊員光源氏と応募枠の大学生』

『……光源氏って言った?』

『ああ。あの絶対やばいであろう光源氏だ』

光源氏。昔Lskさん達と同じ時代に活躍したプロゲーマーで今は個人のStreamerとして活動していたはずだが……。

『第3部隊所属?』

『Yes』

『あの人ってやばい噂絶えない気がするんですけど』

『俺がお前をねじ込むって言うかスカウトしたせいで俺以外の上が入れ込んだ』

『えっと……俺がしっかり監視しなかった場合は?』

『監督不行届だな』

『はぁ……給料半分カットくらいで許してくれ』

『一応本人は心入れ替えたとか言ってるから』

『絶対未成年に手を出してるだろうが!!お前も覚えてるだろ?あの人その問題で競技シーン引退に追い込まれたんだぞ』

『お前もチート疑惑とかで大炎上したから引退したんじゃなかったっけか?』

『火消しは大事よ。彼女作る為に引退しました』

『ほとんど変わらねぇじゃねぇか』

『ヤッたのとヤる予定では全然違うんだよ!!まぁ、光源氏は了解。後処理大丈夫なん?』

『最悪光源氏のイラスト担当した人はUNで囲む。光源氏は即刻クビで裁判する』

『えー契約書とか書かせた?』

『ガッツリ書かせた』

『了解。光源氏はまぁ、心入れ替えたことを願おう。てか、なんでそんな奴を上はねじ込んだのか』

『お前は散々Kagurqに燃やされてるから同じようなもんと思ったんだろ』

『未成年と成人女性は違うんですぅぅ。てか、俺Kagurqさんと一回しか会ったことねぇし。逃げられたけど!!』

『逃げられたのがいけねぇんだよ』

『そっすねー……ヤバイな。俺も燃える気がしてきた』

『Vtuberは炎上と上手く付き合うしかねぇからな。あっ、ただ彼女います。副隊長です!!って公言していいから』

『は?それが一番燃える気が……』

『魔導協会。教主は副教主を嫁とする。第一部隊。隊長と副隊長は男性同士でとても仲がよく、一人の女性隊員は置いてきぼりに。第2部隊、全員女性で構成されたこのチームはいつも秘密の花園状態』

『……視聴者が求めてるんすね』

『ああ。特に最初の嫁を副教主にしたやつは燃えるんじゃなくて良くやった!!っておめでとうコメばっかでびっくりした』

『エイトさん奥手だからな』

『リスナー全員で頑張れって応援してオケーが出た時は自分のことのように嬉しかったな』

『はぁ……まぁ、了解。他の契約についてはまた明日でいいか?今回は俺が隊長を了承したってだけで寝かせてくれ』

『ああ。また事務所で話そう。おやすみ』

『あい、おやすみ〜』

電話を切る。

疲れすぎて判断力が鈍っている気がするがまぁ、Vtuberが次の仕事か。菜璃と光源氏と大学生。はっきり言ってヤバそうな匂いしかしないが外堀完全に埋められてたし、しかた……ない。うん、しかたない。

俺はこれからの日々が楽しくなることを祈ってソファーで眠りについた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る