第6話 妹はとてもうざい
今日は休日,学校がない.
つまり桃井さんがやってこない.平和だ.
さて,のんびりとゲームでもするか.
そう思って携帯を探したがなかった.
携帯電話を携帯していないなら,それはもはや固定電話ではなんて現実逃避をしてみたが携帯は全く見つからなかった.
何処に行きやがった.
そんな時に廊下をドタバタと走る音が聞こえた.
「お兄ちゃんーーー」
そらから,けたたましく声を上げながら妹が僕の部屋のドアを開けた.
ああ,なるほど,理解した.
そう言えばうちの妹と桃井さんはちょっと似てるな.
そう言いかけたときに妹が僕の携帯を携帯していることに気が付いた.ちゃんと携帯電話だ…….ふう,さてと.
「うるさいよ.僕の携帯……」
「うん?お兄ちゃんの携帯はここにあるけど.」
そう妹は悪びれることなく言った.
「いや,何奪い取ってるんだよ.人の携帯.返せよ.」
そう僕が言うと妹が不思議そうな顔をした.
「何を言ってるのお兄ちゃんのものは全部私のものだよ.」
見た目は可愛いが言動が完全にジャイアンだよ.いや,まあ別に携帯ぐらい貸すけどって前に言ったからだけど.勝手に取るなよ.
「はい,はい返してください.何をしてたわけ?」
妹から携帯を奪い取った.いや,返して貰った.
「ああ,お兄ちゃんがなんか変なこと調べてないかって思って検索履歴を見て馬鹿にしようと思ってたの.」
兄の嫌な所を受け継いでやがる.本当に,どんな兄か見てみたいよ.後で,洗面台に行くか.はぁ.
「おい,勉強しろよ,中3.」
紅葉は今年高校受験の中学3年生,そんな緊張感はない.
「うるさいよ,お兄ちゃん息抜きが必要なの.でも変な検索履歴見つけたよ.」
検索履歴ね.うん,待って,今気が付いたけど,桃井さんの連絡先が載ってるやつ見られたらめっちゃ面倒だ.絶対ダル絡みされる.
「何?お兄ちゃん心当たりが無いんだが.」
そう僕が言うと妹は眼をキラキラさせながら,こっちにやってきた.うわぁ.
「ふふふ,確かにお兄ちゃんは,エッチなこととかは調べてませんでした.」
うん,調べてないよ.そもそも,まあいいか.
「でも,ですよ.『何を考えてるか分からない人 どう対応』,『ウザくて変な人 闇を感じる どうする?』『微妙な距離の人 少し言い過ぎた 謝る』とか,『少し謝る 方法』とかそんなことを調べてましたよね.」
あっ……
「そんな事調べてないよ.」
強硬突破をしようとした.だって言い訳無理だし.もう,力技しかないでしょ.
「いや,履歴があるんですよ.お兄ちゃん.」
「…………うん,もう携帯返してね.」
強行突破を続けた.
「えーー,お兄ちゃんのけち.それで,誰かと喧嘩でもしたの?でも良かったと思うよ.妹的には,心配してたんだよ.あんなことがあったからもう誰ともかかわらずに孤独死するって思ってたから.」
あんなことね.
「兄的には,こんな風に兄をからかって勉強しない方が心配です.はい,勉強してください.じゃないともう勉強は教えません.」
「もう,お兄ちゃんのけち,まあいいよ.ふふふ」
ご機嫌に不気味に笑いながら,妹は部屋を出て行った.
今度は携帯取られないように,携帯隠しとこ.もう,これ何電話だよ.
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