90日目
燃える森のクレバスを降下していくドラゴンの腹側で、天使は「ほぉお」と歓声を上げた。
鉱物が太陽の光を反射して輝き、谷全体を明るく染め上げている。
虹色の泡が大地の暑さを抑えているらしい。
「こんな所があったのか」
まず初めに天使を小屋の前に下ろしたドラゴンは、腹這いになり生き物と猫を下ろした。
久しぶりに大地を踏みしめる猫が大きく伸びをする。
天使は嬉しそうにくるくると回っている。
生き物はそんな天使の羽根を摘まんで引っ張った。
天使が「なんだい?」と首を傾げる。
「帰らなくていいのか、と聞きたいのだろう?私はね、ずっと逃げ出したかったんだ」
生き物の脳裏には先刻の泣き叫ぶ天使の姿がこびり付いている。
「あの子には悪いことをしたと思っている」
生き物の考えが分かったらしい天使は、生き物を抱きしめて大きな羽をぱたぱたと動かした。
「私を匿って」
懇願する天使を無下にも出来ず、生き物は仕方ないなと耳を下げた。
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