52日目
生き物は生物にしては珍しく二足歩行だ。
足は、体のバランスから考えると随分と大きい。大きな体を支えるためだろうか。
ぺたんぺたんと歩く様は陸地を歩くアヒルやペンギンの様でもある。
手もふかふかで大きく、しかし、手先が器用でいろいろなものを使うことができる。
身長は160㎝ぐらいだろうか。ずんぐりむっくり毛むくじゃらの体が愛らしい。
その中で一際目を引くのは、長くピンと天に伸びた耳だ。
ウサギのように自由に動く耳は、遠くのかすかな音も聞き逃すことがない。
あえて聞いていないことは往々にしてあるが。
生き物はヒクヒクとネコ科の動物の様な鼻を動かし、匂いを嗅ぐ。
ピンと伸びた髭がバラバラバラとトンボの羽のように動いた。
いいものを見つけたらしい。
生き物は鬱蒼と茂る青草を踏みつけてずんずん獣道を進むと目当ての木に辿り着いた。
大きな大木の周りに小さなキノコがわさわさと生えている。
それを大きく黒々とした目で一つ一つ精査しながら、生き物はキノコを籠に入れた。
今日はキノコスープにしよう。
ぺろりと口の端を舐めて、生き物は夕食を想像していた。
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