22日目
今日は、朝から風が強い。
屋根を構造している木々が飛んで行かないように生き物は昨日の時点で、先手を打って置いた。
屋根の上に積まれた土嚢が彼らが飛ぶのを阻止してくれる筈だ。
ガタガタと窓が大きな音とを立てる。
日頃穏やかな谷の底の気候にしては珍しい。
生き物は暖かいミルクを飲みながら視線を窓に向けると大きな目と視線が合った。
地滑りのような大きな音がして、生き物は長い耳を畳んで塞ぐ。
これはドラゴンだ。
先日現れた飛竜より圧倒的な大きさを持つ、ドラゴンが谷の底に降りてきたらしい。
この風も彼が羽を羽ばたかせるから起こっているものだと推測して生き物はため息を吐いた。
先ほどの地滑りのような音は、ドラゴンの咆哮だろう。
しかし、これは困った。
生き物は完全にドラゴンに存在を認知されてしまった。窓の外をのぞくと大きなぎょろぎょろした青い目がこちらの様子を伺っている。
勘弁してくれと肩を下げる生き物の背中にはいつもののんびりとした空気はなかった。
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