9日目
今日も青い花は揺れている。
一輪挿しの水を取り替えながら、生き物は長い耳をぴこぴこと動かした。
何かが動く音がする。
水を取り替えた一輪挿しを定位置に置いて、生き物はゆっくりと寝床のドアを開けて外へと踏み出した。
ぐるぐると喉を鳴らす声が聞こえる。
生き物は音の方へとゆっくり忍び足で向かう。
大きな木の陰に隠れながら、谷の底の皿に底を覗き込むと一匹の野犬が怪我をしていた。
困った、と腕を組んで生き物は寝床へと帰る。
収納スペースを開き、大きな網を掴むとまた野犬の方へと歩き出した。
ばさりと音を立てて網を落とし引き上げる。
怪我をした野犬は網の中で暴れて居たが、地面に降ろされて網を外されたら、一目散に逃げていった。
長い黒い尾っぽが風に揺れている。
いいことをしたのではないだろうか。
生き物は胸を張って寝床へと帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます