第301話 リズム
「
「どうだい、私の名推理は?」とばかりに、ドヤ顔を披露するスカレット。
恐らく、『召喚獣が人型が多い、それは神になろうとしているから』というのは、彼女なりにしっかりと考えたうえで出した、聞いた人を感心させる話なのだろう。
問題があるとすれば、ここにはその人とやらが居なかった、という事だ。
「《意味不、明!》」
雪ん子がそう言いつつ、剣を振るう。
振るわれた剣の先はスカレットへと向かい、しかしその剣は彼女の【無限の距離】によって、虚空で制止する。
「無駄ですよ。私のこのスキルは、あらゆる攻撃を私に届かせない」
「《ぴぎぃぃぃぃ!!》」
「……おや?」
【無限の距離】によって止まった、雪ん子の剣。
本来ならばそこから1mmたりとも進まないはずの剣なはずが----
----ずずずっ。
ゆっくり、ゆっくりと。
----ずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずずっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!
明らかに、スカレットの方に近付いていた。
「《おっりゃああああああああああああ!!》」
----ずしゃっ!!
雪ん子の剣は、スカレットの服を切り裂いていた。
「おおっ、すごいね。彼女」
ひょいっと、後ろに退くスカレット。
切り裂かれた服の部分を、泡だて器状の武器から黒い泡にて補強する。
「私のスキル【無限の距離】は、あらゆる攻撃の移動をゼロにして無効化する。それを無理やり力を込めて、コンマ1くらいでも進ませようと、力を込め続けた結果、距離無効化を無視してダメージを加えてくるとは……..。力押しでなんとかなる問題じゃないんだけど」
「《ぴきっ! 見切った、当てられる!》」
「えぇ、つまりは----」
ファイントはそう言って、空中に魔法を複数個発動させる。
一番前の魔法は先が尖った鋭利な魔法となっており、その後ろにはその魔法を押し込むための魔法が複数展開されていた。
「----
ファイントがそう言って、魔法をスカレットに打ち込む。
スカレットも避けようとするも、避けきれる数ではなく、放たれた魔法のいくつかはスカレットの【無限の距離】によって、彼女の前で
「おや、これはマズいね」
「えぇ、それを打ちこんでジ・エンドってね☆」
ファイントが高速で魔法を放つと、スカレットに打ち込まれた魔法が奥へと押し込まれる。
「----名付けて【釘魔法】ってね♡」
---ずきゅんっっ!!
別の魔法によって押し込まれた魔法が、そのままスカレットにぶつかり、破裂する。
「かはっ……!?」
「《ぴぴっ!! まだまだ、行くよ!》」
「えぇ☆ 有効打が見つかった以上、バンバン行きます☆」
魔法の爆破ダメージで吹っ飛ぶスカレットに対し、雪ん子とファイントの2人がそのまま攻め込む。
ファイントが放った魔法が、【無限の距離】によって停止する。
その停止した魔法に、雪ん子が剣で衝撃を与えて押し込む。
押し込まれた魔法が、ファイントへと押し込まれて、爆破ダメージを与える。
----スキルで停止させて、魔法を止める。
----剣で、押し込む。
----相手に当たって、破裂する。
まるでリズムゲームでもしているかのように、テンポよく。
雪ん子とファイントは、最初こそ無敵に思えたスカレットに対し、着実にダメージを蓄積させていく。
「(このままじゃあ、マズいね)」
一方で、スカレットもこの状況はまずいと判断していた。
魔法の爆発によるダメージもヤバいが、相手が調子よく戦っていることが一番良くないと考えていた。
「(
自分だけの
今の雪ん子とファイントが、まさしくそれに当たる。
しっかりとした戦術を使っており、その戦術が1回1回ごとにさらに良い物となっている。
スカレット自身もこのままだとまずいと思いつつ、対策が出来ないのは、対策しようとしたら相手がさらに良い戦術を使ってきて対応できないからである。
「(----まぁ、そういう相手に限って、そのリズムを崩されると弱くなるんですけど)」
ニヤリと、スカレットはほくそ笑んでいた。
「これで、止めっ! 魔法、最大出力!」
「《やる! やる、やる!》」
ファイントは最大出力にて魔法を放ち、雪ん子は力を込めて剣を振るう。
「----【無限の距離・反転】」
そして、スカレットは、スキル【無限の距離】の向きを
自分に永遠に到達しないという防御戦術から、相手に絶対に到達するという攻撃手段として。
そして、雪ん子とファイントは自分の攻撃を自ら喰らう形にて、大ダメージを受けるのであった----。
(※)【無限の距離・反転】
絶望スカレットの【無限の距離】の応用技。【無限の距離】は自分に対して永遠に到達できないという、強制的にパワーをゼロに変える技であるが、これは向きを反転することで相手の技をそのまま相手に返すという技として応用している
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