第237話 エピローグ&エピローグ
「……ようやく、ダンジョンから出れたぜ」
ダンジョンから出て、久方ぶりに見る太陽を見ながら、俺はやれやれと言いつつ、ぐぐっと背筋を伸ばす。
無事に、俺は当初の目的であるファイントを取り返すことに成功した。
その帰り道に、俺の召喚獣達を回収して、【送還】も無事に完了した。
ココア達は、なんか疲れ切った様子であった。
疲れ切った様子なのはココアだけで、彼女の妹達は元気だったけど。
マルガリータは一心不乱に歌いながら、踊るという、まさにアイドルみたいなことをしていた。
その横でヘミングウェイは、ダンジョンに溢れる敵の攻撃を一人で受け続けるだけのドМプレイをして喜んでいたんだけど。
「(と言うか、なんで武装姫ヘミングウェイはあんなドМなんだろう……。妖怪やワルキューレって、そんな『ドМ』に繋がりそうな感じもないのに)」
ファミリーや血族を大切とする吸血鬼ココア・ガールハント・ヒアリング3世が、家族愛や姉妹愛に溢れた性格になるのも分かる。
雪ん子やら、悪癖龍マルガリータやらも、こじつければ説明はつく。
……融合召喚獣化して、かなーり、キャラ変したファイントは除こう。
「ごっ主人♪ ごっ主人♪ 一緒に出られて、嬉しいなっ♡ それ、嬉しいな♡」
俺の腕に恋人のように抱き着き、鼻歌交じりに上機嫌なご様子のファイント。
……このキャラ変しまくったファイントは、忘れよう。
問題は、武装姫ヘミングウェイのドМな性格。
妖怪にも、ワルキューレにも、どちらにもドМらしさというか、ドМに繋がる要素はないと思うんだが。
……ほんと、なんでこうなるのか分からんな。
「……ねぇ、ご主人?」
と、ヘミングウェイの事を考えていると、急にファイントの口調が強くなる。
「今、私といるのに、
「えっと、それは----」
「なーんっちゃって! ちょっぴり演技ちゃってみました♪ 面白かった?」
うふふ、と笑うファイント。
それに対して俺は「アハハ……」と返しつつ、
「(いや、あれ……完全に本気の目だったんだけど……)」
ヘミングウェイに、ヤバイ性格になったファイントをどうしようかと悩みつつ、家へと帰るのであった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【----と言う訳で、《ペンライト》小鬼でペンライト!】
その小鬼は、召喚主たるビーワンちゃんの命に従い、ダブルエムの所にやって来ていた。
頭は、七色に光るペンライト。
指1本1本は青色に光るペンライトになっており、身体には【アイドル最高】と書かれた特徴的なTシャツを着ている、変な小鬼である。
そんな変な小鬼は、ダブルエムに向かって、爪代わりのペンライトを向けていた。
「お母さん! この【解呪・極み】を受けて欲しいんだ!」
「いやっ、大地! ここは、【超勇者体術・
「-----ダブルエム! 俺の求婚を受けてくれ!」
そこは、
元勇者の2人、空海大地と天地海里の2人がダブルエムに向かって、呪いを解く相談を仲良くしていて。
そして、1人の男、網走海渡がダブルエムに向かって、求婚している。
シュールである。
【えっ、なにこれでペンライト?】
「#カオス な状況なんですが……あなたは? 【ペンライト】なんて【世界球体】は持ってなかったはず……それに、幽鬼でも、赤鬼とかでもなく、#小鬼?」
ダブルエムも困惑しているように、小鬼も困惑していた。
でも、小鬼は行動を開始する。
【ごほんっ、でペンライト。今から、この《ペンライト》小鬼の力で、推し達を幸福にするでペンライト!】
「いや、だからあんたはどういう……え? 鑑定干渉スキル?」
出てきた小鬼を鑑定しようとしたら、ダブルエムの鑑定は弾かれた。
滅多に持っていない、鑑定を弾き飛ばすスキル持ちに、ダブルエムは警戒する。
「鑑定が出来ないだなんて、ますます#怪しい」
【----早速、行動を開始するでペンライト! スキル【推し幸せ光線】でペンライト!】
そして、小鬼の頭代わりのペンライトが不規則に光り出したかと思うと、指代わりのペンライトの色が青色から紫色に発光する。
紫色に発光したと思うと、爪に光が集約していく。
【----【推し幸せ光線】! びぃぃぃぃぃむぅぅぅぅ!!】
「「お母さんっ! 危ないっ!!」」
小鬼が爪から放つ、紫色の光線。
ダブルエムに迫るその光線に気付き、2人の元勇者がそれぞれ魔力で壁を作る。
壁は紫色の光線にぶつかって、そして----
『『おぎゃああ!!』』
----2人が張った壁の脇に、小さな壁が出来ていて、『『おぎゃああ!!』』と
それはまるで、赤子のように。
「「----は?」」
2人の元勇者が唖然としていると、2人の元勇者の脇に小さな子供が現れていた。
「パパ、だっこぉ~!!」
「ママ、あたしも! あたしもぉ!」
元勇者の2人の脇に、突如として現れた子供達。
子供達は、2人の元勇者にすがりつく。
「#カオス」
その様子を見て、ダブルエムは溜め息を吐きつつ、この状況をどう頭の中で処理しようかと考えていた。
《6章 完》
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