第232話 世界を地獄にするくらいなら、鳩時計にしよう
「……冒険シタイ」
ダンジョン内に現れた、居るはずのない人物----花弁千夜葉こと、『ベンチャーちゃん』。
彼女は何らかの方法にて、死なないという運命を課せられたはずの幽鬼カルタフィルスを倒して、そのような言葉を言い始めたのである。
「冒険シタイ! 冒険シタイ! メチャクチャ冒険シタイ! トビッキリノ冒険シタイ! ドコマデモ冒険シタイ! 冒険シタイ! 冒険シタイ! 驚クホド冒険シタイ! 色々ナ冒険シタイ! ヤッパリ冒険シタイ!」
その言葉に、俺は聞き覚えがあった。
あまりの一瞬の出番ではあったが、それでも俺には聞き覚えのある言葉だった。
確か、あれは----
「《鳩時計》世界幽鬼というヤツだったような?」
そして、『ベンチャーちゃん』の顔は、時計盤のような顔へと変わり。
手に現れた2本の長針を、彼女は背中に翼のように付ける。
最後に、彼女の手は、真っ黒に染まっていた。
===== ===== =====
《鳩時計》世界幽鬼が 覚醒しました
これにより 《鳩時計》覚醒幽鬼へと 変化しました
生前時の職業 【鍛冶職人】の力を 会得しました
特殊スキル【
【《鳩時計》覚醒幽鬼】 レベル;Ⅳ+?
全ての世界に快適な鳩の鳴き声と共に時刻を告げる世界が閉じ込められていた【世界球体=鳩時計世界=】の力で歪み、そののちに未練を捨てて覚醒した、
手にした時計の長針を模した武器を相手に刺す事によって、生命の流れを操作して、行動を遅くしたり早くしたりすることが出来る。また、頭の上にある鳩が鳴くことで、周囲の生物の体内時計に干渉して、相手の時間を止める事が出来る
超冒険シターイ! ヤッパリ冒険シターイ! 果テマデ冒険シターイ!
===== ===== =====
【遂に! 遂にこの身体を手に入れたでクルック~!
これで今から、世界中を鳩時計で支配してやるでクルック~!】
なんか物騒な、そうでないような夢を語る覚醒幽鬼は、そのまま手をダンジョンの地面に付ける。
そして、覚醒幽鬼の身体を中心として、大量の岩が隆起する。
「何をする気だ、こいつ?!」
俺が戸惑っていると、覚醒幽鬼は行動に移す。
隆起させた大量の岩が、1つの形に再構築されていって----そして、鳩時計の形となった。
「岩が、鳩時計に?」
【世界は、何者かの手によって地獄化されてるという話を聞いているでクルック~! 地獄化なんて許せないで、クルック~!
それならば、地獄化をしている相手を、私が倒すことで、代わりに世界を鳩時計にして見せましょうクルック~!】
……意味が分からん。
どうしたら、世界を鳩時計にするなんて言う、狂った考え方になるのかはさっぱり分からなかった。
だがしかし、分かっているのは、1つ。
このままだと、この覚醒幽鬼の力によって、世界はとんでもないことになるって事は確かだ。
【まず手始めに、あんたを、鳩時計にしてやるでクルック~よ!】
覚醒幽鬼はそう言って、こちらに向かって来る。
「だがしかし、幽鬼カルタフィルスが消えた今、俺には召喚獣が出せる!」
俺がさっきまで召喚できなかったのは、幽鬼カルタフィルスの力----もとい、【大根】の【
その幽鬼カルタフィルスが居なくなった今ならば、召喚獣達を召喚できる。
「いけっ、
俺が召喚したのは、3体の戦天女。
剣を持った、攻撃重視の戦天女シルト。
弓を持った、遠距離攻撃の戦天女ボーゲン。
格闘術を用いる、近距離担当の戦天女ムスターマン。
全員、レベルⅤの戦天女達である。
ついでに言えば、俺の新たな仲間、武装姫ヘミングウェイを構成する戦天女達である。
「全員、あの鳩時計を倒せ」
「「「仰せのままに」」」
そうして、3体の戦天女達は、《鳩時計》覚醒幽鬼へと向かっていく。
【全員まとめて、丸っと鳩時計にしてやるでクルック~!】
そうして、覚醒幽鬼は黒い手と共に、こちらに襲い掛かってくるのであった。
(※)戦天女シルト・戦天女ボーゲン・戦天女ムスターマン
レベルⅤの召喚獣で、ワルキューレ系統の3人。武装姫ヘミングウェイを構成する【ワルキューレ】系統もこの3人である
ワルキューレはそれぞれに、自らに一番合う武器と言う物が存在し、その武器で戦う天使である。シルトは『鋼』を操り、手にする剣を状況によって自由自在に変えて戦う戦天女。一方、ボーゲンは『弓』を巧みに操り、相手がどこに隠れようとも攻撃出来る、遠距離の名手の戦天女。そしてムスターマンは、ワルキューレにも関わらず、武器を持った方が弱い変わり者であるが、接近戦において最強の力を発揮する
なお、3人とも、ワルキューレに相応しい慎み深い性格であり、変態ではない。もう一度言おう、変態ではない
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