第30話 トリガーフレーズ
女子高生たちは、怪しすぎるジャーナリスト(つまり俺ーー秋山コウジ)に怪訝そうな顔を浮かべてはいるが、しばらく黙ったのち、顔を見合わせてから言った。
「ーーいいよ」
「それじゃ、不死鳥のこと、聞かせてくれる?」
「うん。不死鳥に現在いる子が教えてくれたんだけど、不死鳥に加入する時に、自己暗示をかけられるんだってーー。その時にトリガーフレーズもかけられていて、その言葉を聞いた時、何の迷いもなく電車に飛び込むように仕向けられているみたい」
「そんな事が出きるの?」
「実際、それで何人もの人が死んでるの」
女子高生はうつむいて、悲しそうにそう言った。それでねーー女子高生は話を続ける。
「それでね、沢口望って子のグループ内での名前がスズメーー。田中宏美って子がツバメ。そして西島佳子と言う子がカラスーー。そう呼ばれていたみたい。ここからは推測だけど、この三人の名前のどれかが、誰かのトリガーフレーズになっていて、それで同じ日の同じ時間に自殺したんじゃないかなぁ?」
「何か、すごい組織だね。カラスって呼ばれてる人がリーダー格だって聞いたんだけど、西島佳子もそうだったのかな?」
「リーダー格って言っても不死鳥の中でグループが別れてるみたいだから、何人かいるうちのリーダーの一人なんだと思うよ?」
そう答えてくれたのは、髪が長くゆるいパーマをかけた女子高生で目鼻立ちが整っている子だった。
「あ、トリガーフレーズは、本人は知ってるの?」
俺は聞いた。
「知らないみたいだよ!」
「あ、でも、私はそのトリガーフレーズを聞いたよ。宏美のトリガーフレーズはカラス。そして望って子のトリガーフレーズはスズメーー。あと、西島佳子って子はツバメって言葉がトリガーフレーズだったみたい」
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