第16話 カムサハムニダ父ちゃん
いただきますの代わりにカムサハムニダ。
ごちそうさまの代わりにカムサハムニダ。
おやすみの代わりにカムサハムニダ。
知っている韓国語がカムサハムニダだけのうちの父ちゃんは、とりあえずカムサハムニダを連発している。
1年くらい前、珍しく父が「愛の不時着みてみたいなぁ」とテレビを見て言った。
韓国ドラマは見たことがない父がそう言うので、
見られるようにセッティングしてあげた。
見事にはまった父ちゃん。
一気に半分を見て、たぶん3日くらいで見終わったんじゃないかというスピードで見ていた。
「はまっちゃったよー」と楽しそうに、続き見てくると言って部屋に戻っていった。
そんなカムサハムニダ父ちゃんは、愛の不時着を何回も見ている。笑
何回も見てシーンまで覚えた。
「あそこが面白いよね。」と得意げに言っている。
64歳、キュンキュンしているのだろう。
れから私が好きな韓国ドラマや韓国映画をお勧めすると、次々と見ている。
この歳になって、父と同じ話題で盛り上がれるとは。
私が「あのドラマ10話まで見たよ。」と話すと、「最後まで見ちゃったよー遅いね。」と言われるほどだ。
父が韓国ドラマな休日に、私はチヂミを作って、チャミスル(韓国のお酒)を買ってきた。
とりあえずカムサハムニダと言って乾杯。
カムサハムニダ父ちゃんとお酒を飲むのも楽しい。
そろそろもう一言くらい韓国語覚えてくれてもいいよ。
カムサハムニダ父ちゃん。
終。
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