14話.謁見①
レムリアとの会談を終えた3人は宿で一息ついていた。
「ふぅ……、まったくクラウスにはヒヤヒヤさせられたよ……」
「ふんっ!
貴族なんかと馴れ合う気はないからな、利用し合う関係が丁度いいんだよ!」
元々貴族という支配階級の存在を嫌っていたクラウスは、ジョルジュ・アルデンヌの存在によって、嫌悪感を強めていた。
「はぁ……、嫌うのは構わないけど、嫌われることはしないでね。
ボクたちにとってレムリア様との繋がりはとても大事なものだから」
「わかってるよ」
ファウストの苦言にクラウスは苦々しい表情で応えた。
そして、レムリアからの連絡がくるまでの数日間を3人は思い思いに過ごした。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
数日後、3人のもとにレムリアの使いとして一人の騎士がやってきた。
「アイオン殿、クラウス殿、ファウスト殿。
朝早くから申し訳ない。
我は王国騎士団副団長のアントニー・ヴァロワと申します。
レムリア団長の命令であなたたちを王城までご案内致します」
アントニー・ヴァロワと挨拶を済ませた3人は、ともに王城へと向かう。
そして、彼はその道すがら今日の段取についての説明を始めた。
今日の目的は難解な事件を立て続けに解決させた3人に称号を授与するため。
そして3人にはそれぞれ異なる称号を与えることになるが、それがどんなものかは国王陛下しか把握していないとのことだった。
そして王城に辿り着いた3人は、王城の中にある応接室に通された。
「謁見の準備が整うまでの間、この部屋にてお待ちください。
我も所用があるため、席を外させて頂きます」
広い応接室に残された3人はあたりを見回した。
レムリアの屋敷の応接室もかなりの豪華さであったが、王城の応接室も当然の豪華さであった。
「はぁ……、最近豪華な場所が多いな……
場違い感がすごいぜ……」
「そういうなよ、クラウス。
そういうお偉いさん方と今後仲良くしていく必要があるんだからさ」
「はいはい、対応はアイオンたちに任せるよ」
そんな会話をしていると、応接室のドアがノックされた。
「アイオン殿、クラウス殿、ファウスト殿、お待たせ致しました。
謁見の準備が整いましたので、こちらへどうぞ」
応接室の入り口には先ほど別れたアントニー・ヴァロワが立っていた。
「陛下がお待ちです、ついてきてください」
何処からみても立派な騎士様といったアントニー・ヴァロワに先導される形で謁見の間までの通路を歩く。
そこに置かれている置物や彫像は応接室にあったものとは違って、見た目の豪華さは控えめになっており、むしろシンプルなものが選ばれていた。
「応接室の派手さを見たあとだと、このあたりの装飾は物足りなく見えますか?
応接室は対外的に国の裕福さをアピールするために必要以上に豪華にしてるらしいです。
陛下の好みはこの通路のような装飾らしいですよ」
過剰なほどの豪華さに嫌気がさしていた3人は少しだけほっとした。
しかし次の瞬間、視界に入った大きな門に言葉を失う。
何故なら、そこには大きな龍が彫られた鋼の扉があったからだ。
「あちらが謁見の間ですよ。
我はここまでです、扉が開いたらお入りください。
王国騎士団副団長アントニー・ヴァロワ、
アントニーが目の前の大きな扉に叫ぶと、ゆっくりと開いた。
謁見の間は王という絶対的な存在の
大きな龍が彫られた鋼の扉を開け放った先の視界は、金と紅で埋められるのである。
窓のない室内は消えぬ
そしてその柱は遙か奥に見える玉座まで連なっている。
光輝く金属鎧や煌びやかな美術品、王座の後ろには大きな国王の絵画が飾られていた。
そのどれもが廊下に置かれている物とは比べものにならないほどに豪華であり、それら1つからも王の威光を示したいことが伝わるものであった。
その光景に圧倒されていた3人に聞き覚えのある声で言葉がかけられた。
「アイオン殿、クラウス殿、ファウスト殿、陛下がお待ちです。
王の御前までお進みください」
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