どこかへ
時間は正午になろうとしていた。日ざしは強く、南向きの大きな窓はキッチンを照らしていた。そとはとても暑いだろうことが想像できた。出不精のわたしはエアコンのきいたリビングで読書をしていた。そこに起抜けの彼女が寝室からやってきた。
「どこかへ行きたいわ」
「うむ。どんなところがいいのかね」
「そうね、まずあたたかいところがいいわ。次に美味しいものが食べたい。それでいて、あまり行ったところがないところがいいかしら」
「なるほど、美味しいものが食べられるかはシェフの腕次第だが、いいところはある」
わたしはキッチンを指さした。
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