天国からの電話

 友人から電話があった。

「やあ、ひさしぶり、元気かい」

 わたしはすこし前に自動車事故で亡くなり、不貞行為の罪で地獄におとされていた。

「なんだい、君も地獄かい」

「いいや、オレは天国さ」

「いいじゃないか、うらやましいね、こっちは毎日働きづめさ、上司はこわいし、飯もたいしてうまくない。こんなんならいっそ死んだほうがましだね。で、なんだい」

「うらやましいことなんてあるものか。こっちは誰もいなくてさびしい。そっちに行きたいんだ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る