八 潜入作戦開始
二〇三四年三月二十二日、水曜、二〇一四時。
ISS-BS1でPeJが、
『皆にJとCたちトムソ(ニオブの特殊部隊戦闘員)の能力と精神と意識と記憶を与えたから、今後は、皆の名で行動してね。
JとCたちトムソは、いつでも皆とともにいるよ。
皆はニューロイドだからね!』
と説明したように、K(キャサリン・ダンテ、茶居玲香、防衛省防衛局対潜入工作員捜査部、通称MDAIの捜査官)と、D(デイヴィッド・ダンテ、軽部平太、警察庁警察機構局特捜部、通称NPSIDの特別捜査官・サイボーグ特務コマンドCSC)にも同じ状態が生じていた。
茶居玲香はK(キャサリン・ダンテ)の記憶と防衛省防衛局対潜入工作員捜査部の捜査官としての記憶を宿したヒューマであり、軽部平太はD(デイヴィッド・ダンテ)と警察庁警察機構局特捜部の特別捜査官・サイボーグ特務コマンドCSCの記憶を宿したヒューマだった。
二〇三四年三月二十二日、水曜、一九三〇時。
茶居玲香が、市谷にある防衛省極秘武器開発局のサイボーグ開発局・CDB四階の、警察庁警察機構局特捜部特別捜査官・サイボーグ特務コマンドCSC専用宿泊施設に現れ、茶居玲香は十分ほどで、サイボーグ特務コマンドCSC専用宿泊施設を出ていった。
二〇三四年三月二十二日、水曜、二〇一四時に、月面での一回目のISS-BS1のフェルミ艦隊攻撃が終了した。
ふたたび、茶居玲香が装置(変装用3D映像制御アームユニット)を持って、市谷にある防衛省極秘武器開発局のサイボーグ開発局・CDB四階の、警察庁警察機構局特捜部特別捜査官・サイボーグ特務コマンドCSC専用宿泊施設の軽部平太の部屋に現れた。
『ISS-BS1の攻撃で、イングランドのストーンヘンジの地下に待機していたレプティリアの宇宙戦艦が女帝と大佐もろとも消滅した。
女帝と大佐はレプティリアの政治と軍の中枢だ』
茶居玲香は精神波(心の思考である精神思考による意志疎通)で軽部平太に伝えた。
『残ったレプティリアは烏合の衆か?』
軽部平太裳精神波で応対した。
『レプティリアは卵生、もしくは卵胎生だ。一度に多くの子を産む。一卵性ではないが、遺伝子はほぼ同じだ』
『まだ、女帝と大佐が、何人もいるのか?』
『そうだ。NPSIDとMDAIからの指令だ・・・』
NPSIDは、警察庁警察機構局特捜部(National Police Agency Police Organization Bureau Special Investigation Department 通称NPSID)。
MDAIは、 防衛省防衛局対潜入工作員捜査部(Ministry of Defense Defense Bureau against infiltrated operatives investigation department 通称MDAI)だ。
『こいつで化けてレプティリアの住み家に潜入し、女帝と大佐を抹殺する・・・』
茶居玲香は軽部平太に装置(変装用3D映像制御アームユニット)と、拳銃FNHiPerを作りかえた特殊な狙撃用ライフルと、拳銃FN HiPerを渡した。
『ライフルはスコープとサイレンサーの銃身と銃床を外せば拳銃になる。弾倉は拳銃と同じグリップ内蔵のカートリッジ、ライフル用30発だ。拳銃として使用時もイレンサーを使う。拳銃の用カートリッジは20発だ。
弾はエクスプローダー(exploder)。頭を吹っ飛ばせ!』
エクスプローダー(exploder)弾はホローポイント弾のくぼみに銃用雷管や少量の火薬を埋め込んだ銃弾で、命中すると炸裂する。被弾部位は跡形もなく吹っ飛ぶ。
『緊急連絡だ!各国でレプティリアの不審死が続いてる!
原因は、突然岩石が各地に出現したせいだ!』
茶居玲香が装着したスカウターからの情報を軽部平太に伝えた。茶居玲香と軽部平太の連絡は精神波(心の思考である精神思考による意志疎通)だ。
『レプティリアを狙った攻撃か?』と軽部平太。
『ああ、レプティリアだけを狙ってるらしいぞ。
独裁者の攻撃じゃないな。独裁者はレプティリアの傀儡だからな』
茶居玲香は軽部平太にスカウターを渡した。
軽部平太はスカウターを装着した。かつてのスカウターとちがって小型だ。
『突然、岩石が各地に出現したんだから、誰だかわからんが、転送スキップ(時空間転送)できるテクノロジーを持っている奴が、岩石を出現させたんだな・・・。この岩石は、小天体か?』
スカウターの情報から軽部平太がそう言った。
茶居玲香がスカウターの情報、
《ISS-BS1が、火星の公転軌道と木星の公転軌道との間に存在する小惑星帯と地球上で、スキップ光を確認した》
から判断して言う。
『そうらしい。ISS-BS1は誰かが小天体を転送スキップ(時空間転送)したと確認した。
ISS-BS1の攻撃じゃない。ISS-BS1ならレプティリアを太陽へ転送スキップ(時空間転送)するはずだ』
『ISS-BS1の他に、レプティリアを壊滅しようとしている者がいるのか?』
『そうらしい・・・。
さて、どうする。状況が変わってきたぞ・・・。
何だこれは!?』
茶居玲香がスカウターを見て驚いている。
情報は全てNPSIDとMDAIからだ。
軽部平太は情報を再確認した。
《世界各国でヒューマが死に、死者の顔がレプティリアに変化した。
各国でヒューマが凶暴化したと情報を得たが、これはヒューマではなくヒューマの亜種のエイプと判明した。
ヒューマは凶暴化していない。死者はいない。
レプティリアが死に、エイプが凶暴化する原因は、突然現れた岩石によるバクテリアが原因と推測される》
『これなら、一つ手間が省けた。だけど、今まで、ヒューマに紛れてレプティリアとエイプがいたとは驚きだ』
驚いている軽部平太に茶居玲香が厳しく伝えた。
『驚いていないで、仕度しろ!戦闘開始だ!』
茶居玲香にせかされて、軽部平太は特務コマンド・CSCのバトルスーツとバトルアーマーを装着して腕に装置(変装用3D映像制御アームユニット)をセットし、渡された銃とライフルのカートリッジを確認して、大量のカートリッジとともに銃とライフルをバトルアーマーに装着した。
バトルアーマーには、MA24改多機能KB銃、MI6粒子ビーム拳銃、超小型ミサイルP型迫撃弾、超小型多方向多弾頭ミサイル・リトルヘッジホッグ、巡航ミサイル型手榴弾BB巡航弾、レーザービーム銃、コンバットレーザーナイフ、スカウター、そして、それらと防御エネルギーフィールドのシールドを管理するAIがすでに装備されている。これでバトルアーマーの重量は30kgを越えるが、軽部平太は重量が気にならなかった。その事を不思議にも思わなかった。
『誰と戦闘するんだ?』
すでにバトルアーマーを身に着けている茶居玲香が呆れたように言う。
『エイプだ!』
『何だって?ヒューマとエイプをどうやって区別するんだ?見た目は同じだぞ!』
軽部平太は茶居玲香に訊いた。
『スカウターに、ターゲットマークが出る。そいつの頭を吹っ飛ばせばいいんだ。他の身体組織を吹っ飛ばしても再生するから、頭を狙え。
行くぞ!』
茶居玲香は、当り前の事を訊くなという態度だ。
なんでスカウターにエイプのターゲットマークが出るんだ?そう思いながら、軽部平太は茶居玲香とともにヘルメットを装着して、部屋を出た。
軽部平太は茶居玲香ととともにサイボーグ開発局・CDBの車両に乗った。
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