神を撃つ銃弾
きょうじゅ
白い死神
質問をしよう。
「狙撃手は銃にスコープを付けるべきか?」
これに対する私の答えはノーだ。確かにスコープを使った方がより遠方から狙撃することはできるが、スコープは光を反射し、敵に位置を知られるリスクをわずかに高めるからだ。
また質問をしよう。
「飛べない鳥に勇気は要るか?」
これはフィンランド人なら、誰もがイエスと答えるだろう。カオジロガンの雛は飛べないが、親鳥が餌を運ばない彼らの習性にあっては、雛鳥が自力で崖を降りて餌を捕らなければならないのだから。カオジロガンの雛は親の巣を飛び立つその日まで、オオハクチョウの舞う空を仰ぎ見て、ただ勇敢に生き抜かねばならないのだ。
では、次の質問だ。
「狙撃手に勇気は要るか?」
私の答えはノーだ。狙撃手は、勇敢であってはならない。カオジロガンの雛は天敵であるホッキョクギツネの前にも身をさらさなければならないし、同様に一般の兵士も弾雨の前に身をさらす勇気を持たなければならないが、狙撃手はそもそも危険に身を晒してはならない。誰よりも、恐怖を知らなければならない。それが優秀な狙撃手の条件だ。
もう一つ質問だ。
「神は人間よりも勇敢か?」
答えはどうやらイエスのようだ。何故そう言えるかというと、私がこの目でそうであるところを見たからだ。
最後の質問だ。
「モシン・ナガンM28の銃弾で神は殺せるか?」
その答えは誰も知らない。だが、私が今からそれを確かめる。
神を殺すのだ。この私、シモ・ヘイヘが。
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