第七話☆素敵な家


みなさん、こんにちは。私の名前はリリィ。つい最近まで今泉リリとして女子高生をしていた。


突然だが、私は今、立派な家の地面で転がっている。


「お腹、空いた…」


レアが作ってくれた家はとても立派だった。周りを大きく柵で囲ってあり、庭には見たことのないカラフルな花で覆い尽くされていた。


そして、家は二階建てで、椅子や机、棚などの家具も完備。キッチンやトイレもついてる。


正面に玄関、入ってすぐに2階まで吹き抜けにされたリビング。すぐ横にはダイニング。玄関から一番離れたところにキッチン、トイレ、お風呂。2階には個人の部屋が三つほどあった。ウッドデッキもついてる。なんて素晴らしい家なんだろう…!!!


だが、欠点がいくつかあった。


〜15分前〜


「わぁああああ!!すっごい!!家だぁあ!!」


「ふふん!!もっと私を褒め称えなさい!ちゃあんと家具も揃っているんだから!」


私は家の中に勢いよく入り、テンションマックスのまま家の中を走り回った。


「すっごいすっごい!!わぁ〜!水道もある!」


そして、キッチンに備え付けられた水道の蛇口を捻った。


スカッ


「…あれ…?レア、お水が出ないよ?」


「…?あぁ、それ見た目だけだもの。私、緑の妖精だから水は動かせないのよねぇ。人間の家は見てたけど、水道の中身の造りは知らないわ。」


レアはプイッとそっぽを向いてしまった。


「…ま、まぁ、魔法があるからね!魔法で水出せば大丈夫ー!!ちょっと余裕ができたら、地下水とか一緒に考えよう!!」


あ、そっか!緑の妖精ら木とか花とかしか出せないんだ…。まぁ、こんな立派な家建ててくれたし、レアには感謝しかない!!


私は気を取り直し、家の二階に行くため、階段を登る。そこにある三つの個室のうち、一番大きな部屋を開けた。


「この部屋、素敵!私この部屋にしたいなぁ〜!」


「うふふ、素敵でしょう!ところどころにお花も散りばめたんだから!」


レアの言う通り、色とりどりの花が部屋中に散りばめられており、大きな窓、そして、バルコニー。


バルコニーからの景色は…


「わぁ…ちょうど夕日だ…綺麗。


森しか見えないけど」


見渡す限りの森だった。


もう一度部屋に戻ってみる。部屋の中は、机に、椅子、そしてクローゼット。その横には、ベッド………の骨組み。


「……布団は…?」


「……藁なら出せるけど…置いてみる?」


「…いらない…」


よくよく考えてみれば、カーテンが一枚もない。なるほど、草木じゃ布は作れないからね。


「布を作る方法知らない?」


「ふふん!!私がそんなことを考えてないと思った??そんなこともあろうかとこんなものを作ったのよ!!」


「へ?何それ…?」


目の前に差し出されたのは、色々な形の積み木のようなものと、何かの枠のようなものが折り重ねられてあった。


「よく分からないけれど、これ使って人間が布を作ってたわ!」


「これは…手織り機?すごい!これで布が作れる!」


私が前の世界にいた時、手織り機が通販サイトで目に留まり、衝動買いしたことがあった。

勉強そっちのけで布を織りまくって成績が下がり、親にこっ酷く怒られた記憶があるが…


役に立ってよかった…


「ところで糸はどうやって手に入れるの?」


「あ!!それなら私、綿花出せるわ!!えいっ」


レアが指を鳴らし、魔法陣が浮かび上がる。するとすぐ下の地面に綿花が現れた。


キャハハハハ


笑い声と共に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る