冷えた人形使い

泥遊びをすると怒られた

服が汚れるからじゃない

服を汚して手間をかけさせる、から


水たまりに飛び込んで怒られた

長靴を履いているのに

それを干すのは誰だ、と


勉強をしないと怒られた

宿題をやっているのに

それ以上のアクセサリーがいい、と


自分は何者でもなかった

余計なことをすると殴られる

諦めて人形になった


「お嬢ちゃん、いくつ?」

幼稚園児なら無料の宿屋で

「ごさい」

と、笑顔で答えた


褒めてはくれなかった

ただケラケラと嗤い、酒を煽る姿だけを覚えている

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