しなやかに、あたらしく、きらめいて
夏になったらヒールのサンダルを履くのが好きだった
だけれども大きくなるにつれて色褪せる
茶が深みを増すように
私は老いていった
もう履くことがないと思って捨ててしまった
後悔しながら物への執着が消えていくのを知る
ずっと後悔しながら自らなくしていく
なくしていくから後悔する
頭の中でメビウスが煌めいた
現実は煌めいていないけれど
感じるということは
随分と遠く生きて来られたんだ
雨の中で傘を差して濡れる靴を見て思いついた
新しい靴を買おう
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