2学期のはじまり 愛に好きだなんて言えるわけがない
2学期の転入生 凛ちゃん
2学期のはじめ転入生がやって来た
「今日から転入の
凛さんは小等部の途中からアメリカにお父さんの仕事の都合で行ってましたがこの度帰国されました。ほんとは、英語科クラスに入る予定が強い希望でこの普通科クラスに入りました。みんな仲良くな。小等部からの生徒は覚えてるかな」
「太田 凛でーすっよろしく!先生どこ席?」
なんとも、人が良さそうな子である。ニコニコしてぽっちゃりして。
前髪パッツンボブという髪型がお似合いだ。
ただ僕は何故かニコニコしてる子が苦手だ。小学校の時から心の中で、そういった子にはニヤニヤ星人と呼んで逃げていたのである。
きっと笑顔を向けられることの経験値が極端に少ないからかもしれない、その点愛は愛想は無いから抵抗がないのか。いや愛にニコニコされたらきっと、死ぬ。
「じゃ 山本の隣に」
と、凛ちゃんは僕の隣になった。
「あなたが太陽くん?」
「え はい」
「へーっ。なかなか美少年!宜しくね」
「は、はい よろしく」
愛が親友と言ってる凛ちゃんだ。
これで愛も元気になるかな。
と思って愛を見たら、愛がニコニコしているではないかっ!あ.....僕ではなく凛ちゃんに、ね。それでもあんな愛の笑顔.....毒物だ。危険だ。刺激が強くて寿命が縮まったかもしれない。
「じゃあ今日のホームルームは秋の遠足について。だな。例年通り
遠足かあ。
遠足や行事が楽しみになるなんて、僕にはあり得ないと思っていたのに。
今僕は、遠足とやらが待ち遠しい.....のだ。
おやつ持参していいのかな。ビニールシートあったかな.......。
「ちょっと ちょっと 太陽くん」
「はい?」
「なにニヤニヤしてるの」
あ、まさか僕自らニヤニヤ星人化していたのか。やばいではないか。
「あ、ちょっと楽しみで」
え.....楽しみで.....とか口走ってしまった。
「愛と何しよっかな?とか考えてたから?」
な、なぬ?!凛ちゃんは転入僅か1時間弱で何を言い出す。そうか僕が厄除けの如く愛にへばりついているのを知っているのか。
さらに、さっきの愛の毒殺級笑顔に見惚れたのも、見られたか。
「ね、太陽くん いつになったら愛に好きっていうの?」
え なんという発想力。ぶっ飛びすぎやしないかい。そうかアメリカ帰りだからストレートなんですね。
「そんな、僕にはそんな事とても.....」
キーンコーンカーンコーン
休憩時間 愛がすぐに凛ちゃんの席に
「ちょっと、凛 何を太陽に話したの?しかも凛、なんでそんな太ったの?」
「そりゃあ ジャンクフードのメッカにいたのよ~大丈夫今から痩せる明日痩せる」
ぼ 僕の知らない愛がいる。普通の女の子みたいに可愛く話している。なんて素敵な光景。
自然と他の女子達も集まり、愛と凛ちゃんを中心に話が弾む。そうかこれが僕の知らない時代の、本来の愛の姿。
昼休み 僕らのクラスはガヤガヤしていた。凛ちゃんを囲んで盛り上がる。
僕は久々にぼっちになる。
こんなクラスも悪くない。
そういえば僕への嫌がらせはピタリと止まった。彩花に中庭で話して以来。彩花も控えめになった。武装解除したかの如く彩花食堂も幕を閉じ、マーサと二人で食べてるみたいだ。
要くんは先輩女子からも告られては断ってるらしい。やっぱり別格だね。本物のイケメンは。
5時間目
数学Iの教科書を出そうと机を手探りしたら、なんだろう。ハンカチなんて持ってきてないし。
雑巾かな。掴んで取り出した。
薄ピンクのお椀型の布が2つ連結した......ブ ブ...○△ギャー
思わず床に落とした......木下君が背後でガタッと椅子を動かす程驚いた。
僕と凛ちゃんの席の間に落ちたその布を凛ちゃんが拾い上げた。
「あ、私間違えたね 太陽くんのとこに入れちゃった。ごめん」
「え。え.....」
いや、きっと違う。僕をかばってくれた。だってきっと凛ちゃんには、もっと大きいサ.....
って僕は下着泥棒なんかじゃない。
嫌がらせはまだ続くようなのか....。
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