さよならはまたあした~厄除けの僕が君を好きと叫ぶ日まで
江戸 清水
陰キャでもイケメンをめざすんだ
高校逆デビュー失敗か
僕はこの私立
大半の中学の同級生は公立へ進んだ。
僕は親のすすめで、受かるか微妙なラインの偏差値高いこの高校を受験し、合格してしまった。
母の母校でもある。
小学校からエスカレーター式のここは、高等部の偏差値を上げるために編入学生を少数だけ入れる。
―――いわば選ばれし編入生だ。
僕はただ過去の自分とおさらばし、ニューワールドに身を置きたかっただけ。ただ静かに三年間を過ごしたい。無駄なことに時間は使いたくないのだ。
中学からの奴らに混ざってまた、おんなじ三年間を繰り返すなんてお断りだ。
もう、僕をいじくりネタになんてさせない。
あ、僕の名は
山本がなんの変哲もない苗字なため、太陽としたらしい。
明るくこの世を照らせ!沈まぬ太陽になれと。その名とは裏腹に僕は明るくはないだろう。
人と接するのが嫌いなだけ。アルバイト募集欄に
『人と接するのが好きな方!大歓迎! 明るく元気な職場です』
とよくあるが、そんなキャッチフレーズを見たらぎょっとする。
と、思ったのに。同じクラスに中学の同級生
どうして僕の
世紀末―――時は1990年代後半
ギャルだのコギャルだのが流行り不良か不良もどきが世にのさばる、そういったのも僕の性には合わない。
馬鹿なんじゃないかと思う。
キレる10代とか言われる世代だが、僕はキレたことなんてない。
なにか文句を言われたなら第一声は『すいません』だ。
腹の中で見下していてもね。自己防衛だ。生きるスキルを身につけた。
さらに、編入生は20名。当たり前の如く注目の的。
すべてが誤算、大誤算。
ガリ勉が多く真面目な校風を勝手に予想していたのも大外れであった。
中学の頃、『僕はあなたが好きですっ』『....................ギャーッ』
で散った初恋の思い出。
むやみやたらと恋心を抱くという罠には二度とはまるもんかと思っていたのに
あっさり僕の心を奪った子まで見つけてしまった。
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