195 突発強制クエスト『餓鬼の乱』4 陣埜守護者 三塔岩鬼 破照魔 前
さて、この状況で高速餓鬼生成陣を破壊する訳だが、さっきアナウンスにあった無名の餓鬼に王位が継承されたと言うのが陣の場所のヒントになるはずだ。
何故なら餓鬼共は、この7合目から『
つまり、無名の餓鬼とは、高速餓鬼生成陣によって新しく生まれた餓鬼の可能性が高い。それに、餓鬼共の移動速度はそんなに早くないし、それに今は7合目全体が砂だらけだ。なので、『星覚』の感知範囲を全力で広げて、今餓鬼が一番密集して所を見つければその近くに陣がはずなのだ。完璧だろ?
異界化領域の航空制限に引っ掛からない様に上昇し、より広範囲を把握出来る様に『星覚』の感覚を広げる。疎らに餓鬼共の反応が出るが、一ヶ所だけ既に大きな餓鬼の集団が出来ているのを確認する事ができた。
恐らくそこが、高速餓鬼生成陣の有る場所だろう。
特徴的な背の高い岩が三つ並んでいるので、今の状況でも分かり易いはずだ。
それにしても、高速と言うだけ有って本当に餓鬼の生成が早いんだな。急ごうか。
一面砂漠の様に為った7合目の斜面を宝輪の上から眺めていると、『
しかも、翌々考えて見たら。実際に想定されているであろう、大人数での攻略中に『
まあ、だからこそ。このクエストを、1パーティーで攻略するのに効果的みたいだけどな。
移動を続けると。砂が高く盛り上がり、砂山と為っている場所が見えて来る。
砂山の上部には、塔を思わせる様な大きな岩が三つ等間隔に並んでおり、丁度漢字の「山」を連想させる。
その周囲を少し見回すと、予定通り餓鬼の集団を発見できた。
餓鬼の集団の中に、間抜け面に不釣り合いな豪華なマントと、王冠を身に着けた餓鬼が居た。多分こいつが新しい餓鬼王なんだろうけど、一番弱い雑魚の餓鬼と同じ体格で明らかに弱いと分かる。
うん。やっぱりこいつ、生まれたばかりの餓鬼に違いないな。
となるとやっぱり怪しいのは、大岩が三つ並んだ砂山だ。
『星覚』の感覚範囲を絞り、砂山周りを細かく把握するために集中すると、妙な力の流れとその高まりを感じる。
パッと砂山が光ると周囲に何体もの餓鬼が出現する。
出現した餓鬼共は、一部は既に存在する餓鬼の集団に合流し、残りはバラバラに何処へ向かって移動して行く。
うん、間違いない。あの砂山の下に、高速餓鬼生成陣が有るのは確定だな。
しかし、餓鬼共の統制は一部しか取れてないんだなぁ。
やっぱ餓鬼王が弱いからかね?
で、餓鬼王は討伐しないといけないんだが、出来れば高速餓鬼生成陣を破壊した後の方が絶対に良いはずだ。いやだってさ、餓鬼王は継承される訳だろ?
そうなると、7合目のフィールドには疎らとはいえ、既に王位継承の可能性の有る餓鬼共が全域に居るって訳だ。
しかもこちらには、どの餓鬼が王位を継承するのか分からないし、7合目全体を探すのは如何考えても手間が掛かり過ぎる。
だからといって、もう一回『
「う~ん。あの新しい餓鬼王、倒さないで一時的に封印とか出来ないかなぁ?」
「にゅ? しょれならわちに任しぇるのじゃ! 『氷棺凍結』のアーツを応用しゅればバッチリなのじゃ!」
お、チナは封印とかも出来るのか。
『氷棺凍結』の応用って事は、コールドスリープ的な奴かね?
「いくのじゃ! 『氷棺封印』!!」
まだ接敵して居ない遠距離からチナが氷の棺を作り出し、王冠を被った餓鬼とその周りで「グギャグギャ」と屯している餓鬼共を纏めて閉じ込める。
「ギャギャッ!?」
「グギャッ!?」
突如出現した氷の棺に餓鬼共は大慌てだ。
おお、これは上手く行ったんじゃないか!
でも、このままあそこに氷棺を置いておくのは良くな気がする。
だって、高速餓鬼生成陣の近くだし、守護者とか普通に居そうだからなぁ。
なので。『PK』のスキルで氷棺を持ち上げ、為るべく遠い場所に氷棺を飛ばして移動させる。もちろん、氷棺を移動させた場所はちゃんと把握して置く。
ちなみに、餓鬼王の周りに屯していた餓鬼共は、氷棺を追いかけて行ってしまった。
さて、いよいよ不審な砂山に接近する。
砂山に近づくと、まだまだ明るく晴れていたのだが、急に不気味な雲が辺り一面に一気に広がり瞬く間に暗くなる。
ブオン! 砂山から突き出る三つの大岩から、サーチライトの様な光が伸びエルナ達を照らす。
¶陣埜守護者 三塔岩鬼 破照魔の警戒網に探知されました。
陣埜守護者 三塔岩鬼 破照魔の分析によりエルナパーティーの脅威を認定しました。
陣埜守護者 三塔岩鬼 破照魔が拠点防衛モードに移行します。
ドッ!パァ――ン!! アナウンスの直後、陣が有ると目される砂山が吹き飛ぶ!
オオオッ!!!! 砂が吹き飛ばされ、砂に隠されていた物が姿を現す。
そいつのパッと見の印象は、岩で出来たガ〇タン〇もしくはゲッ〇ー3、あるいはマ〇ロ〇の変形前って感じだろうか。そうだとしたら頭長いけど。
詳細は、上半身の肩の部分と頭部に当たる部分が塔の様に長く伸び、砂山を見た時に思った様に漢字の「山」を思わせる形だ。下半身に足は無く台座の様な物の形に為っており、鬼と表記されているが所謂ロックゴーレムの一種にしか見えない。
ちなみに、腕の数は普通に二本だけ、大きさは一番高い場所で40m,横幅も同じく一番広い所で40mは有りそうだ。
ブウ――ン! 三つの塔に当たるパーツの上部と上半身の胴体部に、それぞれ紫に輝く目が開かれ先程のサーチライトの様な光を発する。と云うか、こいつの上部に付いてる突起を塔って言ってるけど、こいつは鬼なんだから角呼びで良いよな。
フォオオオオン!! 『ブレイクパルスサーチライト』
カッ!! ジュゥゥゥッ!! エルナ達に向けられる光が瞬間的に強くなり、体に火傷の様な痛みが走り思わず「くっ……!」と声が漏れる。
そう、見事に先制攻撃を喰らってしまったのだ。
「このっ! 『
サレスが直ぐに、光を反射するのに最適な宝鏡を皆を守る様にして構え、『
パァアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!!
『ブレイクパルスサーチライト』の光を反射して、力を増幅させた『
ゴォオオオオオオオオオオ!!!! 邪悪な者を滅する力はやはり有効な様で、破照魔が苦しむ声が響く。当然俺はこの隙に、パーティメンバーを回復して置く。
さて、先制攻撃を許してしまったが、反撃と行こうじゃないか!
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