後悔恋にあらず

口惜しや

プロローグ

彼は私に愛する方法を教えたが、愛するのを止める方法は教えなかった。




やはり人間というものは失ってからでしか気付くことができない。そんなことはわかっていた。そうならないようにも心掛けていた。

だが必ずしも結果が変わるというわけでもないのだ。後悔しか残らないことだってザラだ。できることなら戻りたい。あの頃の写真の自分に恋焦がれる。私が縋り付く過去は残酷にも背をそむける。タイムワープ系の映画ならばまさしく変える前の模範的なダメな未来。

私のすべてを変えてくれることになった女性についての記憶のかけらを紡ぎ合わせ作った「たからもの」。ツギハギだらけのすさんだ

「たからもの」

そんな「たからもの」に。過去にとらわれ続ける男の。救いのないストーリーだ。

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