ヘソ曲がりナナメ読み

凹田 練造

第1話 犬山紙子氏の俳句の強味と弱点について。

 犬山紙子氏の俳句が、MBSテレビ『プレバト』において、大きな話題になっている。

 この番組は、作品に、「才能アリ」「凡人」「才能ナシ」の三種類の評価をつけるのだが、犬山氏はそれまで、「才能アリ」一回「凡人」二回「才能ナシ」二回という成績だった。

 何年も続いている同番組では、すでに何度も優秀な作品を作った名人と呼ばれる人たちや、名人を狙う特待生と呼ばれる人たちが、通常上位を占める。

 ところが、二千二十一年の夏のタイトル戦「炎帝戦」で優勝したのが、なんと何の位もない犬山氏だったのだ。

 その時の犬山氏の俳句が、介護中の母の様子を詠んだものだった。また、唯一「才能アリ」を獲得したのが、ふるさとに干物が吊り下げられている情景を詠み込んだものだった。

 それに対し、「炎帝戦」直後に判定された句を含めて、三つの「才能ナシ」作品が、すべて自分のことや、自分の感情を描写したものだったのだ。

 通常、自分のことを客観的に見たり、一枚の絵として思い描き、表現することは難しい。犬山氏は、おそらく、自分以外の人や情景を句にし、その対象と自分との関係を感じさせる場合に、最も強みを発揮するのではないか。

 せっかく母の句でタイトルを獲得したのだから、当分は母を詠んだ句で勝負してみてもいいかもしれない。

 犬山紙子氏の俳句から、ますます目が離せなくなりそうだ。

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