第9話 入学式
「今日という日を皆と迎えられたこと、嬉しく思う。さきほど学園長から話があったように、我が学園は領主代理という貴重な体験が行える。皆、共に切磋琢磨しながら我が国を繁栄へと導いて行こう」
俺は王族としての挨拶を終え、学園長など主要な教員と少し話をした後、ディアナ嬢のところに戻った。
「待たせてしまったな。今日はクラスルームで顔合わせ程度だけなようだ。行こう」
俺は話しかけながらディアナ嬢に腕を差し出し、ディアナ嬢は腕にそっと手を添えた。本来、学園内でエスコートは必要ないのだが同じクラスだしせっかくだから少しでも親しくなりたいと思い実行した。
拒否されていないし大丈夫だろう。あ、俺王子だから拒否できないか…いや、まぁ、良い方に考えよう。うん。
そんなことを考えているとディアナ嬢からおずおずと話しかけられた。
「明日、殿下とのお時間頂けますでしょうか?」
「どうしたのだ?」
「明日、学園長が説明されていた領主代理のグループ紹介が各グループの執務室であるそうです。一緒に見て回りませんか?」
「それはいいな。ぜひ一緒に行こう」
俺は嬉しかったため、心からの笑顔で頷いた。
「んっ!」
なにやらディアナ嬢から不思議な声がし、顔が赤くなっていた。
「大丈夫か?なにやら変な声がしたし、顔も赤い。もしや今日は体調不良を押して学園にきたのか?」
「だ、大丈夫です」
ディアナ嬢はそれだけ言うのがやっとなようで、本当に心配だ。怪訝な顔をしていると、
「本当に大丈夫ですからっ」
と何故か少しむくれたように言われた。
「ディアナ嬢もむくれることがあるのだな」
俺はまた笑いながらそうからかった。
ディアナ嬢は
「今日の殿下がおかしいからですよ」
と小さな声で呟いていたが俺の耳には届かなかった。
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