第65話 鬼とコスプレととよひさと

さて、日ノ本の風雲急を告げる中、その気配が全くないしまづの県でも何やらもめ事が起きていました。

事の始まりは穏やかなものでした。


日ノ本で去年は鬼を退治する長男のお話が全国的に大ブームになりました。

そして、今年に入って鬼の娘とその娘に惚れられた男の子を中心としたラブコメがリメークされるということで話題が持ちきりでした。


なにしろ去年の鬼退治する長男のお話は400億円映画で大ヒットしたということで日ノ本中が大ブームでした。

そして今年発表の鬼の娘がでる「うる〇やつら」という作品は一説では日ノ本一の女性大ヒット漫画家の代表作ということでこれまた前評判が凄いことになっていました。


情報を得るのに遅いことで定評のあるド田舎のしまづの県ですが、その中で唯一といって良い例外であるオタクの巣窟である「おとよ隊」の面々が素早くこの情報を察知しました。


おりしも日ノ本の今年の干支は寅、ということもあり、おとよ隊としてはこれはチャンスと捉えました。

え?何のチャンスかって?

もちろん決まっています!


それは彼らが仕え、崇拝する対象、(大将でも可)であるとよひさに鬼の娘のコスプレをさせようというのです。

彼らの価値観では男の娘=鬼の娘であり、虎柄の女の子の格好を主にさせるというのは非常に芸術点が高い物でした。


しかし、ここで問題があります。

とよひさは以前も紹介した通り、父親を非常に意識、尊敬しており、男としての父親のようになりたい、という価値観の人間です。


当然おとよ隊の考えていることを嫌がるのは間違いありません。

そこでおとよ隊は全員一致である方法で説得します。


ある時、おとよ隊の代表が一人さりげなくとよひさにこう提案します。

「次回の宴会の衣装に虎と鬼の格好をした勇猛な衣装を用意しましたのでどうぞお召ください」


ちなみに彼は「勇猛な」という言葉だけ早口でささやきました。

しかし、とよひさは虎とか鬼とか勇猛な、という言葉からきっと鎧兜的な凄いやつを用意していると思い、何の疑いもなくこの件を了承しました。


ここまでは順調でしたが・・・

次回に続く。


※作品リスペクト 鬼滅の刃 無限列車編 吾峠呼世晴

うる星やつら 高橋留美子

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