第32話
完全なる無表情の彼女たちを尻目に直近の今後の予定を考えていた。
自分の言葉一つで女性の表情が此処まで変わるのが怖くなったからだ。
人形のように表情を無くしている人間を見るのは夜にお花を摘みに行ってフランス人形と日本人形に出くわした並みの怖さがある。
彼女たちはもう亡霊並みに怖い。
なんとか怖い彼女たちの表情を変えようと口を開いた。
「じゃあとりあえず精密検査の予約をして後はどこかに行こうか。」
「でえと?」
「でえと?」
何故かバチバチの火花を散らす音が聞こえた。
怒りなどの表情をする際に見える眉間に皺が寄っているとかではない。
ただ見ている通常時の顔に戻っているのに迫力が凄くある。
「女の闘いってのはいつの世も終わらないね。
よかったねアンタ人生勝ち組だよ。」
「笑えない冗談言わないでくださいよ。」
「なら全員纏めて貰っちまえばいいんじゃないかい?」
「いやいや、俺には全員を愛せなんて器用なことはできませんよ。
一人の女性ですら愛するってことをしたことが無いのに俺にはとてもとても無理ですよ。」
「なんだい甲斐性のない男だね。
みずきをいとも簡単に女の顔にしたってのに個室での夜になると妙な自信が付くタイプかい?」
まるで見てきたかのような言いぐさでおばちゃんは言葉を紡いだ。
「何でわかるかって顔だね。
それを知りたきゃ女心を知れるくらいにデートするんだね。」
歳の経験はどこかお節介に見えて自分の経験したこと世に伝えたい気持ちが見透かし見えているようになった気でいた。
例えるなら新聞のコラムを見ただけでニュースの全てを理解した気になってしまい物事の本質を突き詰めることを忘れていた気分だ。
情報量を多くしていたのに肝心の紐づける公式を無くしていたように突っかかり取っ払われた気分だ。
感情を読むことをしてこなかった自分に対する未熟を感じた。
滑稽にも人の顔色を伺うことなく前を向いて歩きすぎだと言い多様に自分は感じた。
特に威勢の心を考えたことなんて無かった気がする。
職場はいつだって仕事を早く終わらせるための効率化ばかり考えていた。
感情を押し殺して仕事を早く終わらせるためのマシーンのようになっていたのかもしれない。
でもそうでもしないと早く帰れなかった。
「ご教授ありがとうございます。」
今自分が発することのできる言葉はこれが精いっぱいだ。
「ああ、あと精密検査はネットでできるからちゃちゃっやってみずきと涼奈ちゃんをデートに連れてってやんな。
こんなににらみ倒したまま店場に居られても迷惑だからみずきもちゃんと連れていくんだよ。」
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スライム道
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