第11話 アニメ『ふしぎの海のナディア』

どーも。

くろねこ教授です。


今回は『ふしぎの海のナディア』です。

何でやねん?、と言うとナディア展行ってきたからです。


放送開始30年記念 ふしぎの海のナディア展 東京ソラマチ会場

もう一度冒険の海へ

400点にも及ぶ『ふしぎの海のナディア』が産まれるまでの生の資料を展示


というシロモノです。

何でも大阪行って、新潟行って、東京廻って来た模様。

けっこう入場者多し。入場チケットを入場時間ごと分けて販売。更に整理ナンバーで30分ごと集合。ここまで入場者多いならもっと大きい会場でも良かったのでは。

と思いつつ入ってみると狭い会場ですが混雑感は無く、みんな展示をじっくり眺め次の展示へ。丁度良い雰囲気でしたね。

くろのようなオッサンも居れば、若い人も。女性の姿も多かった。リアルタイム世代では無さそうな人も。今はネット配信でも見れるし、CSでもしょっちゅう放送してるしな。親が円盤買って見せているという可能性も。

基本撮影不可ですが、所々撮影できる場所も。三人組の立て看板と撮影とか。さらにガーゴイル、パネルに付いてるネオアトラン兵がカワイイ。ジャンとナディアは立看無いんだと思ってたら出口出たとこに有りました。

グッズ売り場が混雑。みんな買うなぁ。くろは公式図録だけゲット。あれかな、子供の頃は好きでも買えなかった。大人になった今買い放題。所謂、正しい大人買い。

鉛筆描きの生コンテバリバリ展示してるのが貴重かな。後は庵野監督の初期メモとか。


んじゃ後はアニメの話しましょう。


『ふしぎの海のナディア』

1990年、NHK放送

全39回

1889年パリで発明好きの少年ジャンはサーカスの少女ナディアと出会う。彼女の胸に下げたブルーウォーターを狙うグランディス一味。ナディアを助けたジャン少年は秘密組織ネオ・アトランティスとネモ船長率いるノーチラス号との争いに巻き込まれて行くのであった。



TV放送、39話、19時30分放送と今では滅多に無いスタイルですね。

まず制作される過程がなかなか不思議です。

同じ大阪芸術大学を出たメンバーが中心の若手集団ガイナックス。

まだ実績も少ない彼らががいきなりNHKのTVアニメを仕切るとか、普通考えられません。

アニメ制作は一応グループタックになってるのですが、下請け扱いのガイナックスが実質的には製作してる。

この流れはインタヴューとか対談読んでもイマイチ良く分からない。

庵野監督もOVA『トップをねらえ!』の監督しかまだ経験してない。

絵描きとしては既に『風の谷のナウシカ』の巨神兵を描いたり、マクロスのエフェクトやって業界で注目されてはいたようですが。

対談とかで読んだ事を整理するとこうなります。

『未来少年コナン2』の企画がボツになった。

その改造版『海底二万里』の企画をNHKプロデューサーがガイナックスに気楽な気持ちで持ち込んだ。

ガイナックスの精鋭が本気で取り組み企画をTVアニメとして魅力的な企画に創り上げてしまった。

ガイナックスの若さと情熱が実際に制作に結びついてしまった。

みたいな流れ。

ホンマかいな。

NHKやで、東京ローカルや無いんやで。

一応原作ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』とクレジットされてるけど、ほとんど別物なのはそんな流れが有るかららしいです。


タイトルは知ってるけど、見た事ないやという方は最終回だけ試しに見るのがオススメ。

だって一話だけ見てもな、全体であんな話になるとは誰も思わなかろ~。

順番に見たいと言う人は諦めてください。

縁が無かった。

創作物と人間の出会いも縁だと思うのです。

出会うべき作品には必ず出会う。

出会わなかった作品には縁が無かった。


んで、『ふしぎの海のナディア』ですが、ご家族で見れる冒険ファンタジーアニメの様に見せかけて割とシビアな内容です。


主役のジャン少年は発明好き、14歳にも関わらずパリで開かれる飛行機コンテストに優勝可能な飛行機を作れる程。

美少女ナディアが気になって悪役、タイムボカンの三悪を思わせる風貌のグランディス、サンソン、ハンソンとドタバタ活劇。

少年マンガテイスト、天才少年だし、ファンタジーだし、凄いモノ作れて当然、バリバリ活躍していくかと思うとそうではありません。

海で海底戦艦ノーチラス号に助けられて以後、ノーチラス号とネオアトランティスの戦いにおいて全くの無力。

お荷物でしかない少年と成り果てます。

ノーチラス号に「すっごいや」という歓声を上げるだけが役割の少年になってしまうのです。


んで助けてくれた美人の女性ノーチラス号の副長、エレクトラさんがいきなりの凶行、ネモ船長を銃で撃つ。

ガーゴイルが昔、タルテソス王国を滅ぼした過去が語られる。

ガーゴイルとネオアトランティスを倒す為、ネモ船長とノーチラス号クルーは集まった。

そのついでにネモ船長からのナディア、実は血のつながった娘への愛に嫉妬した狂ったエレクトラさんの女の業が見えたり。

この辺、ちょっとアレです。

『エヴァンゲリオン』におけるリツコとゲンドウの関係、綾波レイに苛立つリツコみたいの連想させます。

この辺では本当にジャンとナディアはなーんにもやる事有りません。

それでいて主役はナディアとジャン。

物語を引っ張るのはノーチラスとネオアトラン、ネモとガーゴイルの戦いですがその中心には少女ナディアと少年ジャンの成長が有る訳です。


ノーチラスと分かれての島編。

この辺りの話、退屈とかダメ出す人も多いんですがくろは割と好き。

やっぱ、笑いとアクション、メリハリが無いとね。

ジャン君は無人島で意外な逞しさ発揮。

小屋をさっさと作り上げ不自由ない生活する。

対照的にナディアは野生返り。

「鳥さん、動物さんこんにちわー」とか言いながら森へフラフラと行っちゃいます。

挙句、食べ物に困ってジャンの缶詰を奪ったり。

全体の雰囲気を壊してると言う意見も有るけど、くろは大好きだな。


ナディアとマリーの会話が何気に良い。

ナディアは動物の声が分かると自称し、肉や魚を食べません。

魚を取って食べるジャンとマリーに腹を立てます。

でも幼い少女マリーは言います。

「だってしょうがないもん。

 食べないとマリーたち死んじゃうもん。

 お魚さんだって分かってくれるもん」

頬を膨らませて言うマリーにナディアは言葉を失います。

こういうのも何気に良いシーンだと思います。

ずっと周りはみんな汚い大人、アタシだけがマトモと被害者ヅラして来たナディアが更に幼い少女の主張にやられる訳です。


話はゆっくりと展開。

人と精神で語り合えるクジラが出てきたりして。

ナディアは自分が地球人じゃ無いと知らされます。

「ナディア、貴方はM78星雲から来た宇宙人だったのです」

爆笑。

ウルトラマンだったんか。

こういうギャグなんだかマジなんだか分かんないセンス。

くろの大好物。

すばらしーな。

バカにしてるんじゃないんですよ。

ホントに大好きなんですよ。

更にはギャグなんだかマジなんだかからの鬱展開。

ショックを受けたナディアは塔から身を投げます。

ご家族が夕食時に放送してるNHKのアニメでヒロインの少女が自殺未遂。

今は出来ないだろーな。

当時も難色有ったハズだと思うけどな。

未遂です。

ナディアの持つブルーウォーターが光り地面に激突する前、宙に浮いてたと語られます。

飛行石か。


これ裏話が有って『未来少年コナン2』だか『海底世界一周』だか言う企画段階の設定。

その設定を再構築した。

宮崎駿監督が再構築した物が『天空の城ラピュタ』。

ガイナックスが再構築した物が『ふしぎの海のナディア』。


そう考えるとヒロインや悪役はかなり似ています。

謎の宝石ブルーウォーターを持つ少女ナディア。実はタルテソスの王族の娘。

悪役ガーゴイルはタルテソス王国の元宰相、失われた古代兵器を使うためヒロインとブルーウォーターを狙う。

飛行石を持つシータ。ラピュタにまつわる失われた王家の娘。

悪役、ムスカはシータとは別の王族、ラピュタの力を手に入れるためヒロインと飛行石を狙う。

そのヒロインを助けて悪党と戦う少年、後に本当の敵が分かり悪党と思ってた人達が仲間に、そんな展開も似ています。

何処までが初期設定に有ったのか現在では分かりませんけどね。



そしてクライマックスへ。

ナディアの兄ネオ皇帝が登場。

彼は唯の人形、ガーゴイルに作られた機械仕掛けに過ぎなかった。


ところが。

既に自分の意志など無い筈の機械仕掛けがガーゴイルに反旗を翻しナディアを助けようと動きます。

ネオを拳銃で撃つガーゴイル。

「愚か者!

 私を機械の身体に改造したのは誰だったかね」

ネオのセリフ、塩沢兼人さんの声。

しびれる~。

クライマックスの音楽もベタに流して盛り上がるシーンでまさかのオチ。

コンセントが抜かれる。

ネオの身体からはケーブル、アンビリカルケーブルみたいのが伸びててその先が何とコンセントに!

ガーゴイルさんが抜いたらハイ動けませんみたいな。

大爆笑!

そっからまあシリアスに戻るんですが。


ガーゴイルさんは正気を取り戻したナディアに脅迫。

エレクトラさんに電気ショック。

何故か衣服が破れるサービスシーンが有ったりして。

更にはジャン少年がどうなるかと脅します。

それでも屈しないナディアとジャン。

ガーゴイルさんが何かのボタンを押す。

高い壇上から落下し、ピクリともしないジャン少年。

トラウマになった人もいるとウワサのショッキングシーン。

無音の演出も効いています。


最後にはブルーウォーターの放つ光の中、塩になっていくガーゴイル。

マリーの語るエピローグで終了。


色々良いシーン多い。

迷うナディアがグランディスに目で問いかける。

最初は敵だった筈のグランディスさんが最も信用出来る人になっていたと言うシーン。

こういうので良いんだよな。

エヴァは言葉で語り過ぎ。


最終回は何度見ても見応え有ります。


『トップをねらえ!』や『グレンラガン』もそうなのですが、泣き笑いというかギャグなのマジなのみたいな感動シーン大好きなのです。

単に泣かすだけとか、単にカッコいいだけはこの複合的感動に勝てないと思うんだよな。

アニメ以外で言うとつかこうへいさんの小説、舞台とか。

マンガではそういうの、あんま無いか。

いや違う、くろの大好きな『パームシリーズ』がそれじゃん。

アレは何だろう。

見る人の交感神経活発にするとか、そう言う仕掛けの上に成り立っているのかな。


後はナディアのサービスシーンも売りでしょうね。

結構露出の多いナディアちゃん。

黒い肌、というよりは中近東風かな。

『絶望先生』でも黒い肌好きなオタクはだいたいナディアにヤラれたみたいな事言ってましたね。

スンマセン、うろ覚えです。

貞本義行先生は確かインタビューで露出高い衣装になったのはNHK側の要望と答えてました。

やるな、NHK。


何だか凄い文字数になりましたのでここまでにしましょう。


マトメとしては

『ふしぎの海のナディア』見た事無い人、幼いころ見てうろ覚えの人、最終回見ようぜっ!

てコトで。


ではでは。

くろねこ教授でした。

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