150話 決勝戦 コウタvsディアロ

 武闘大会の続きだ。

 いよいよ決勝戦である。

 相手はもちろんディアロだ。

 準決勝でリンを破った因縁の相手である。


「コウタっち! あたいの無念を晴らしてくれよな!!」


「おう! 任せてくれ!」


 準決勝戦で大ダメージを受け気絶していたリンだが、治療魔法士の治療によりすぐに目が覚めた。

 治療魔法は便利そうだな。

 今後、取得も検討したい。

 やや取得方法が特殊なので、今はまだ無理だが。


「それでは決勝戦を開始します! 両者、前へ!」


 審判がそう告げる。

 俺は舞台の上へと進む。


「まずステージに上がったのはコウタ選手! 初出場にして決勝戦にまで勝ち進んだビッグルーキー! 見事優勝を果たすことができるか!?」


 実況席の声とともに、観客たちから歓声が上がる。


「続いて対戦相手の登場です! 前回優勝者であり、今大会も優勝候補の筆頭と目されていましたディアロ選手! 順調に決勝戦にまで駒を進めてきました!」


 ディアロが舞台に上がる。


「それでは試合開始!!!」


 俺とディアロは、ステージ上でにらみ合う。

 互いに相手の様子を伺っている格好だ。


「ふん。初出場の割にはなかなかやるようだな」


 ディアロが話しかけてきた。


「まあな。さっきまでの戦いも見ていたが、あんたも相当な使い手みたいじゃないか」


「ふっ。褒めても何も出ないぞ? だが、お前が決勝まで勝ち残ったことは認めよう。そこで一つ提案があるのだが……」


「なんだ?」


「降参しろ。今なら特別に許してやろう。どうせ優勝するのはこの俺だからな」


 ディアロがニヤリと笑いながらそんなことを言ってきた。


「…………」


 なるほど。

 こういうタイプか。


「わかった。その申し出を受けさせてもらおう」


 俺はそう言う。


「……なんて言うと思ったか、バカめ!!」


 俺はディアロに向けて駆け出す。


「ふん。いい度胸だ! おらあっ!!」


 ディアロは向かってくる俺に向かって、巨大化させた腕を振り下ろした。

 ガシッ!!

 それを俺は受け止める。


「く……」


 想定以上に重い。


「ほれ、どうした! 早く逃げないと潰されるぜぇっ!!」


「ちっ!」


 俺は何とか相手の力を逸して回避しようとする。

 しかし……。


「逃すか!」


 ディアロがさらに力を加えてくる。


「ぐっ!」


 このままだと押し切られそうだ。

 マズイかもしれない。


「ん?」


 その時、ディアロの背後にある来賓席の一角が視界に入った。


(あれは……)


 ローズとティータだ。

 彼女たちも観戦しているのだった。

 美少女の彼女たちにいいところを見せたい。

 それに……。

 俺はチラリと横に視線を向ける。


「ご主人様っ! ファイトですっ!!」


「コウターっ! 頑張ってーっ!!」


 シルヴィやユヅキたちが声援を送ってくれている。

 彼女たちの声を聞いて力が湧いてきた。

 がんばって挽回するぞ!

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