第48話 叫び

 わたしはね。

 虫が、苦手です。

 基本は、足が無いのとか、逆に足が多すぎるのが、ものすごく苦手。


 でもね。


 夏の間恐ろしいのは、通り道に陣取っているセミ!



 先日階段を下っていたところ。

 なんと、階段の幅のど真ん中に、セミが一匹、止まっていたのです。

 ど真ん中過ぎて、どちらの端に寄ったって、まぁギリギリかなぁという幅。

 階段はもう2か所あるから、そっちまで渡って違う階段を降りるという手もあったのだけど、なんせ朝の通勤時だったので、そんな時間の余裕も無く。


 仕方がないので、意を決して、そうっと・・・・本当に、息も止めるくらいの勢いでそうっと、できる限り端っこに寄って、そのセミのそばを通り過ぎようとしたのに・・・・


 ジジジジーッ!


 ってっ!

 あやつ、いきなり動き出しやがったっ!


「うあおあぁぁぁっ!」


 とかいう、意味不明な叫び声が思わず出てしまったけれども、わたしは走ってそこから何階か下りましたよ。

 だって、あやつ、追いかけてきかねない勢いだったしっ!


 まぁ。

 非常階段だし、そんなに人も通らないし。

 大丈夫大丈夫。

 なんて思ってふと外を見てみると。

 隣では、工事の人が既に働き始めていらっしゃっていて・・・・


 聞かれた。

 これ絶対聞かれてるヤツっ!


 とりあえず、そこから工事の場所が見えなくなるところまで走りました。

 あ~、恥ずかしかった(>_<)

 あやつのお陰で、朝から無駄な汗をかいてしまったよ・・・・

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