三人目……

王立魔法学園を後にした俺はまだ外が暗くなっていなかったため、ギルドへ向かった。


前のように、受付嬢にギルドカードを見せて用件を伝えると、


「申し訳ありません。現在ギルドマスターは他の方との対談中です。そこの椅子にお掛けしてお待ち頂くか、時間をあけて再度来てください。」


仕方ないな。特に今日するべき事は無いので、椅子に座って冒険者ギルドの中の様子を見ながら時間を潰す。


彼等の着る鎧は、ビキニアーマーみたいなヤツではなく、ガチガチのプレートアーマーだったり、レザーアーマーだったり……。


そりゃそうか……ビキニアーマーみたいに露出が激しい鎧は、敵からの攻撃を防ぐのにはなかなか向いていなさそうだしな。


まあ、一級冒険者とかの、かなり強い人が『自分に攻撃は当たらん』という自信のもとで、そのような鎧を着けているのならば納得は出来るが。


なんかさっきから、えらく見られている気がするが、おそらく俺の黒髪黒目を見ての反応だろう。


その時、ギルドマスターのいる部屋の方面から、黒髪黒目の少年が歩いてきた。


そう、『黒髪黒目』である。そこのおそらく彼も異世界人だろうな。『鑑定』を使ってみたくはなったが、敵対行為となるのは避けたい。


そんな事を考えていると、彼と目があった。


……訪れる沈黙。気まずい雰囲気。それを破ったのは、


「もしかしてですけど、あなたも異世界から来た人ですか?」


彼だった。


「そうだ。お前もか?」


「そうです。自分は……アキラといいます。この世界ではこっちで通しているので、そう呼んでください。」


「俺はソウタだ。なあ、ため口で話してくれないか? なんか話しづらい。」


「本当にいいんですか?」


「ああ。そうしてくれ。」


「……ほいよ。これでええか? ワイはため口になると結構口調が変わるんスけど、それでもええならこれにするっスよ?」


! ……関西弁に『ス』とは…… ダイチを軽く上回る程のギャップだな。まあ、まだこっちのほうがいいか。


 そして姿勢が独特すぎる。片方の足をピンと伸ばし、もう片方を、足先を外側にして軽く曲げるという、なんとも変な佇まい。


「ああ。それにしてくれ。なかなかの衝撃を受けたが、そっちの方がまだ話しやすい。」


「了解。そういやぁ、ソウタはギルドマスターに話があってここに座ってんスよね? 俺がさっきまで話してたから、彼は今空いとるっスよ?」


「まあ、お前はギルドマスターのいる部屋の方面から来てたし、そうなのだろう。じゃあな。」


「ほんじゃあな。」


俺は立ち上がって、彼に片手を振りながら、ギルドマスターの部屋へと歩いていった。

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