-33- 「ペンギンの顔」

 うちの学校には、表玄関の傍にペンギンの像があるのだけれど、その像の背中には、人間の顔が浮かび上がっている。


 気のせいや錯覚とかではなく、その背中だけ何故か少し膨らんでいて、はっきりと人間の顔の形になっているのである。


 先生達に聞いてみると、この像は学校が出来た時からあるけれど、最初はこんな顔は浮き出てなかったらしい。


 この表玄関は、毎年必ずこの前で集合写真を撮影し、卒業アルバムに載せられる。


 けれど、ペンギンが変な方向を向いているために、背中の顔が集合写真に映ってしまい、毎年卒業アルバムに大きな心霊写真が一枚映ってしまうことになる。


 図書係の子に頼んで、図書室の書庫に保存された昔の卒業アルバムを確認してもらうと、35年前のアルバムから心霊写真になっていた。


 生徒の間では、このペンギンの顔は特に怖がられておらず、マスコットの様な扱いだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る