■ 平安時代は「母系社会」

平安時代、貴族は各地の有力豪族の娘のもとに通って自らのファミリーを増殖し、

豪族は貴族と姻戚関係を結ぶことで権力を拡大する。当時は「通い婚」、母系社会

であり一夫多妻制でもあった。

そう言えば、『ダーウィンが来た』の“ライオン”も同じ。オスは群を守るために命を懸けて闘い、メスは狩りと子育てに生涯を捧げる。子供のオスは成長すると群から

追い出されて「放浪オス」となり、闘いに勝たねば自分の群を手に入れることができない。強いオスだけが子孫を残し、弱いオスは放浪生活を余儀なくされる。

厳しい自然の姿である。


やがて武士の時代になると、一族が館(城)に籠もるようになり「嫁入婚」が主流

となる。一夫一婦制に移行するが、大名家の殿様などは跡継ぎを絶やさぬよう正室の

他に側室を儲けたりしていた。もっとも源頼朝の妻・政子や徳川秀忠の妻・江などのように、正室が強すぎると殿様も苦労が多かったようだが。


さて現代に至っては「男女同権」が叫ばれるようになり、“同棲”も珍しくなく“共働き”も当たり前の時代となってきた。

しかし我が国の政治家や企業の役員の多くは男性が占めており、「女性の社会進出」は世界と比べても十分と言うには程遠い。改善が急がれるのだが、今回の内閣改造を見ても然り、得てして女性なら誰でも良いというような風潮も散見される。これでは逆差別、却って女性に失礼であろう。

問題は対象となる母数が少ないこと。人口の半分は女性なのだから、政治や企業に

もっと女性が参加しやすくなるような環境が求められる。


では、その為の施策とは“共働き”を推進することなのだろうか。

女性が社会に出るには保育園を増やすなどの支援も必要であろう。しかし若者の所得が低く、生活のために共働きしている夫婦も多いようだ。あげく高い費用を保育園に払うのでは本末転倒ではないか。労働力を安く調達できれば企業の利益が上がり国の税収も増える、そう考えているのではないかと勘繰りたくもなる。

年金の財源が不足するからといって支給を遅らせ高齢者の雇用延長を促進する。それは結果として若者の労働市場を奪うこととなり、引いては少子化にも繫がっていく。

“○×給付金”など目先のバラマキでごまかすのではなく、働く世代、子育て世代が

豊かになるような仕組みを創らなければ根本的な解決には至らないだろう。


話は飛ぶが“ブータン”、2005年の調査では国民の97%が「幸せ」と答えたと言う。経済的に豊かな国ではないが、精神的な豊かさを重んじているそうだ。しかし近年はネットやスマホが普及したことで、それも揺らいでいるとも聞くが・・・。

この国は「母系社会」である。生活を担う両親は働きに出るので祖父母が子供を育て、子供は大きくなると世話をしてくれたジジ・ババの面倒を見る。やがてその子供たちが現役世代になると働きに出て・・・、そういうローテーションが自然に成り立っていると聞いた記憶がある。年寄りにも子育てという立派な役割が有り、共働きであっても保育園など必要としない。


我が国では、行き過ぎた「べき論」が横行しているように感じることがある。

「女性ならではの感性や共感力を十分発揮していただき・・・」、組閣時の総理の

発言だが、これが女性差別に当たるという記事を目にした。

私は、差別というのは個性の違いによって行動の制限を受けたり、活動の巾が狭められることにより不利益を被ることだと理解している。三流のマスコミはアゲ足取りに傾斜するあまり、本来の趣旨を見失っているように見える。あるコメンテータによれば“デジ女”も差別用語だそうな。デジタルは男の領域で、女性が担当することを揶揄した表現だとか。あ~、鬱陶うっとうしい。


男と女、それぞれ特性があることは否定できない。それによって差別が行われるようなことがあってはならないが、互いにその特性を認め合って活動の領域を広げることが大切なのではないか。全員を同じ台の上に乗せて、同じスタートラインに立たせて競わせるだけでは、いつまで経っても豊かな社会は望めまい。

“若者”と“年寄り”も同じこと、人間は誰しも歳を取る。互いの特性の違いを認識し、役割を分担して仲良く暮らすのは自然なことだと思う。(それは「差別」ではなく「区別」と言う)

大事なことは机上の議論だけに囚われることなく、“老若男女”一人ひとりが特性を活かして社会に貢献すること、貢献できる仕組みを考え出すことだと思うのだが。

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