　すると、スタッフルームにひとりのメイドが入って来る。そのメイドこそが、現代系乙女ゲーム『愛は世界を救う』のメインヒロインのメイド、アカリンである。ドS令嬢メアリーを目の前にしてアカリンはびくびくとしてこう言った。

「メアリーさん？　だ、大丈夫ですか？　ものすごい音でしたけど？」

　アカリンのこの言葉に、前世松平トモミ、いや、メアリーはこう答える。

「私は大丈夫です！　そんなことよりも、今までのこと、すみませんでした！」

　まるで別人みたいなドS令嬢メアリーのこの言葉にアカリンはびくびくしながらこう返す。

「わ、私には、なんのことかわからないです！　失礼しました！」

　バタン。メインヒロインのメイド、アカリンはスタッフルームから急いで出ていった。

　ちなみに、メアリーこと前世松平トモミは前世の最後の瞬間を思い出している。そう、あれは雨の日に用事で急いで走って滑って頭を打ったことである。

(そ、そんな！？　私は前世の最後がそれだと言うのかしら！？　どうして、私が現代系乙女ゲームの世界に居るのかしら！？　って、アカリンが私に対してびくびくしていたけど！？)

　ドS令嬢メアリーはだいたいの前世の記憶が戻った。

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