第26話

 僕たちが去るときには、T字路を塞ぐ全てのノウハウの残骸と警官隊が地面に沈んでいた。


 夜道で走行中。

 白い建物が見えてきた。

 教会のようだ。

「あそこも壊すか……」

 僕がそういうと、ヨハが首を激しく振り、

「雷蔵様! あそこはダメです!」

「え……?」

 ヨハの拒否が僕には信じられなかった。そんな権限はないはず。

「さあ、霧島インダストリー社に行きましょう」

 ヨハの声に僕はすぐさま反応した。

 頷くと、体の痛みが激しくなった。


 僕は今度は霧島インダストリー社の敷地に向かった。

 僕は、復讐心に焦燥感を煽り立てられていた。

 霧島インダストリー社が見えてきた。

 180階のモダンな巨大な会社を見ると、僕は地下の駐車場へと向かった。大きな建物に入るためだ。

 二人のゲートキーパーが僕の顔を見ると真っ青になった。

 何かを叫んでいるが、僕はアンジェたちに合図した。マカロフが火を吹くと、ゲートキーパーの一人は倒れた。マルカのアサルトライフルでもう一人が撃たれた。

 地下3階へとスピードを上げていると、警備の武装したノウハウの集団が均等に前方に列をなし現れた。ヨハがその中心に緊急不可視高速モードでグレネードランチャーを撃った。

 大きな爆発音の後、バラバラと倒れたノウハウ。けれど、無事な数体のノウハウが撃ってきた。

 耳をつんざく銃声の後に、アンジェがアサルトライフルでノウハウを一体ずつ片付けていった。付近の高級車もアンジェたちがアサルトライフルでハチの巣にしていく。


 煙と火炎の中。

 車から降りると、迸る痛みを気にせず正面玄関へと走った。

 殺風景な地下3階の駐車場にはノウハウの残骸とほとんどの廃車だけが残った。

 超重量の弾丸が社内を破壊する。

 グレネードランチャーやアサルトライフルで、ガラスが割れるどころか会社の壁や柱を粉砕し、内部が黒炎を噴き出した。今の時間までいる社員は、受付の人たちしかいないが、マカロフの銃弾で床に沈んでいった。警備会社のハンドガンを手にしたノウハウがわらわらと玄関先に集まってきていた。マカロフではノウハウは倒せない。

 ヨハがアサルトライフルを撃った。

 ノウハウたちが撃ち返す。

 アンジェたちが被弾をしているが、アサルトライフルの弾はノウハウの体を貫通する。45口径のライフル弾だ。ノウハウが倒れていくと、僕は未だ過度に熱せられた頭と心のためオーバーヒートしてエレベーターへと向かった。

 

 エレベーター内。

 少し眩暈がしてきたが、僕は目を力を入れて開けていた。

 河守が入社した時のことを思い出していた。

 面接で僕も立ち会い。


 質問を幾つかしていても、すぐに納得する回答が次から次にでてきて、人事部長も真っ青になって驚いていた。IQが140もあると言っていた。僕は凄いと思ったが、人事部長は頭が良すぎる人物を密かに嫌っていた。だから、僕がなんとか説得をしていると、そんな中、河守が僕を見て笑っていた。

 河守が入社してからは、彼女が笑わない日があまりないなと、思っていると、次第に僕が標的となっていった。

 彼女は何故、僕にそんなことをしているのかと、周りの人々に聞いた時があった。やっぱり出世欲があったからでは。と、周囲の重役たちに言われた。あの時の僕の戸惑いは、一体なんだったのだろう?でも、僕は晴美さんのことを考えて、日々を過ごしていたんだ。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る