第5話 死んじゃいそう

「そういうことです」


「ふーん。飲んでんの?じゃあ」


「飲んでるよ、ちゃんと」


「で、痛いの?」


「ん?」


「痛いの?」


「痛い…、んま、飲んでれば全然なんともないけどね」


「じゃ、飲んでないとまた痛くなっちゃったってこと?」


「ん、まぁ痛いっていうか関節がまたちょっと痛いかなって、うん」


「えー」


「だから」


「うん」


「ちゃんと飲み出した、みたいな」


「あ、今はね」


「うん」


「うーーーん。大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ」


「痛いの?手」


「今は痛くないよ、だから」


「薬、副作用あるって言ってたじゃん」


「うん、でも慣れてきたからね。ずーっと飲んでるから。ちゃんと」


「うん」


「真剣に飲んでるからさ」


「うん」


「うん」


「大丈夫?そっちが心配だよ」


「大丈夫だよ」


「ん?」


「大丈夫」


「大丈夫?うーーん」


「しのさん、欲求不満で死んじゃうかなと思ってそっちのが心配だよ」


「うーーん、死んじゃいそう」


「うーーん、死んじゃいそう?そうだよなぁ」


「死んじゃいそうだけど大丈夫。私今あれだから」


「何?」


「僧侶、僧侶?なんだっけ?僧侶…」


「何わけわかんないこと言ってんだ(笑)」


「ふふふふ(笑)」


「何?」


「悟りを開いたの。だから大丈夫」


「なんの悟りを開いたの?」


「おにいちゃんがいない間に……」


「……何?」


「おにいちゃんがいない間淋しくて死んじゃいそう」




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