第98話
探索者センターへとたどり着いた俺は、いつものように更衣室で探索者用の格好に着替える。
ダンジョンに潜る準備を整えたら、次に受付でクエストと呼ばれる依頼を受けた。
これをすることで、魔石の換金代に加え、クエスト達成報酬も受け取ることができる。
今日は休日で一日中ダンジョンに潜ることができるため、クエストを達成できずにペナルティを受ける可能性も低いだろう。
「本当に大丈夫ですか?」
たくさんの発行済みクエストの中から俺は、オーガ10体の討伐という中級冒険者が一人で受けるにはかなりハードなクエストを受注することに決めた。
心配する受付嬢を振り切って、俺は半ば強引にそのクエストを受けて、ダンジョンへと乗り込んだ。
探索者カードを使い、鋼鉄の扉を開いて、ダンジョンへと足を踏み入れる。
「オーガの出現階層は11階層〜か…だったら低層はさっさと抜けたほうがいいな」
雑魚モンスターばかりであまり金にならない低層に長居してると効率が悪いと考えた俺は、なるべくスライムやゴブリンと言った雑魚モンスターとの戦闘を避けながら、ダンジョン内を駆け抜けていく。
加速魔法と体力自動回復の魔法を使いながら、全力でダンジョンの通路を疾駆していると、俺は気付けばオーガの生息領域である十一階層へとやってきていた。
「さて、ここからだな…」
万一にもクエストを失敗しないために、俺は手始めにオーガを優先して狩ることにした。
目標である10体を討伐したら、今日はさらに深い階層へと潜って強いモンスターを狩る。
やりすぎると目立ってしまうが、しかし、今の俺は妹の安全のために一刻も早く金を稼ぐ必要があるからな。
そんな方針を頭の中で立てた俺は、早速オーガ狩りに乗り出そうとする。
まさにその時だ。
「うわああああああああ!?!?」
ダンジョンの奥から悲鳴のような声が聞こえてきた。
「ーーーーッ!」
その声を聞いたときに俺は直感的に声の主が命の危険に晒されていることがわかった。
気づけば体が動いていた。
地面を蹴って前方へ跳躍。
声の方向へ向かって走り出す。
「どうもっ…俺がダンジョンに潜るとっ…こういうことが多いなっ…」
走りながらそんなぼやきを漏らす。
どうも俺がダンジョンに潜るとよくこういうことがある。
今日は多くのモンスターを倒すために少しでも時間が欲しいところだが、しかし、流石に見捨てるわけにはいかないだろう。
俺は救える命を救うために、加速スキルを使って失踪した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます