待ち人

一人の男を夢に見た

梯子の下 灰色と同化した

あの男のことを知りませんか皆様

探しているのです

顔は覚えてるのですが

どこに行ってもおらんのです

ヒカガミの辺りが痒くなったが

掻く指も手も置いてきた


夢から覚めたわたしをお許しください神様

一人の男に執着している

そのくせ捨てるのは早いわたくしめを


ゆうらん船ですか

午後5時に発つのですか

荷物をまとめなければ

その前にあれらを捨てなければ

あれらは塩水を垂らす

うるさいので土に埋める 朽ちるまで放っとく


また夢を見た

一人の男が手招きしている

あれはわたしを愛している

報われたのでしょうか神様

舌を伸ばそうにも届かんのです

ここ水底もやはり夢でしょうか

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