第79話

「昨日ライブハウスに現れたのは赤旗で間違いないだろう。メンバー全員にこの写真の写メを送信して、警戒するように伝えてくれ」



「あぁ。そのつもりだ」



「それと、力耶……」



「なんだ?」



「瞳ちゃん……とか言ったな? その子がまた狙われる心配は?」



「……さぁ、どうかな……」



力耶はそう答え、俺から視線を外した。



「大切な女なんだろ?」



「はぁ? 昨日出会ったばかりで大切もなにもあるかよ」



力耶が、ムキになって声を荒げる。



その態度が、余計に怪しいんだよ。



「千沙と瞳ちゃんを安全な場所へ」



「安全な場所って……」



「強の家がいいだろう。あいつの家なら、常に両親のどちらかが家にいる」



「でも、強は……」



眉間にシワをよせる力耶。



きっと、強の女好きを懸念しているのだ。



「いくら強でも、俺たちの大切な女にまで手を出さねぇよ」



「あぁ……。そうだよな」



「あぁ。力耶、やっぱり瞳ちゃんが大切なんだな」



そう言うと、力耶は顔を真っ赤にして「違う!!」と、大声をあげたのだった。

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