未来

ただ生きる

それだけで難しい

将来のことを考えよと

400字詰めの原稿用紙が

私を静かに責めたてる


10年後の自分がどうなってるか

今日の夕ご飯も分からない私には

難しすぎる


将来は明るいと、言い続ける人びとは

子どもの私が羨ましいと

口を揃えて言う

戻れぬ時を焦がれる姿

それは、生まれた時代が異なる私

子どもを羨む大人たちは

明るい未来いまを生きていないのかと

私に不安の波をかき立たせる


原稿用紙が

白い闇へと

私を引きずり込む

右手に持った鉛筆は

宙に止まり

動き出す時を待っている


空を見る

雲は漂い、鳥は飛ぶ

そんな当たり前を

確かな『今この瞬間』をかき集める


チャイムが白い闇を引き裂く

息をする《いま》が現実と

目に見えぬ《いま》を

信じきることを

椅子から立ち確認する


未来のことは分からない

ただ確かに

私は『今この瞬間』

悩み、存在してたことを

いつか証明できるよう

小さく祈る

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