4.

さよならもろくに言えない。


わたしはあなたを想いながら水中に潜る。


深く、暗く、

孤独、でもないような。


あなたと言葉を交わして得た酸素を、

小さな酸素ボンベに詰めた。


不明瞭なことばかりを言うわたしの言葉と、

不甲斐なさを噛み締めるあなたの言葉は、

似た者同士だと、わたしだけが感じた。


それでも、

あなたの言葉とあなたとの繋がりが、

わたしの酸素だった。


酸素は、水中に潜り、

少しずつ、大事に使っていった。


酸素が無くなる代わりに、わたしの肺は、

悲しさや苦しさが溢れていく。


いつまでこんなことをしているのか。

あなたとのつながりはいつまで続くのか。


どうか切れませんようにと、

いつか、きちんと繋がりますようにと、

毎日、月に祈る。

阿呆なわたしは、叶うと信じている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る