もふもふ~

ラグワの背中に乗って歩いていると、りんごの木みたいな気を見つけた。


「りんごのき?」


『りんご?あれはアーパラだ』


ノウルが答えてくれたけど、名前を聞いただけではわからなくて首を傾げる。


「あーぱら?」


『食べてみるか?』


僕がこくんと頷くと、レドラが飛んで、木に実っている実を取ってくれた。


口に入れると、シャクシャクとしたりんごの食感がした。味も完璧にりんごだ。


ふつうに美味しい。このアーパラ?はりんごって呼ぼう。そうしないと頭が混乱してしまう。


『それは普通の薬にもなる。だから、持っていたほうがいいぞ』


「おいしいね、これ、もっと、たべたい!」


そう言うと、いきなりレドラがリンゴの木に追突した。ドオンと鈍い音が聞こえて、りんごが全部落ちてきた。


落ちてきたりんごはラグワのブラッグホールに吸い込まれてく。


ブラッグホールはラグワのスキルらしい。あの肉が出てきた大きい穴がスキルだったんだって。


森の中を探検してるときに聞いた。


ラグワがブラックホールに入ったりんごを取ってくるから、と背中からおろしてもらう。


ブラッグホールにラグワが以外が入ると、出てこれなくなるらしい。流石にそれは嫌だから大人しく降りた。


降りると、ルフラの構ってちゃんが始まる。


僕はこの時間が好きだ。ブラッグホールから出てきたラグワにルフラが怒られるのはわかってるんだけど、もふもふが堪能できるし、怒ってるラグワのしっぽを追いかけるのが意外に楽しくて。


『もふもふ~』


「もふもふ~ああ〜いやされるうぅ〜」


『もふもふ~』


ルフラが僕がずっともふもふって言っていたから、撫でられているときはずっともふもふ~を繰り返し言っている。これがすごく可愛い!


本当にルフラには癒やされっぱなしだ。


ブラッグホールからラグワがりんごを咥えながら戻ってきた。


『あ!またやったんですか?ルフラばかりずるいです!』


『ふへへ、もふもふ~』


「もふもふだね、えへへ」


『私もなでてもらいたいのに・・・』


「ん〜、ラグワのしっぽ!」


ラグワの言葉を無視して、ぶんぶんと不機嫌そうに揺れているラグワのしっぽを追いかける。


ブンブンしているだけかと思うんだけど、うまい具合に僕が左へ行くと、右にいちゃって、追いかけに行くと今度は左に行っちゃう。これをラグワが不機嫌な間はずっとしている。子供の体なこともあって、単調な動きでも追いかけるのは難しい。


疲れるけど、とっても面白い。みんなも一回やってみたらいいと思う。


でも時々頭目掛けてブンってなるから一瞬あ、これ死んだって思うときあるけれど。


でもそれもスリルで楽しめるから、今一番の娯楽だ。


『ちづき、しっぽで遊ばないでください』


パクっと襟首を咥えられて、移動させられる。


もうちょっと遊びたかったのに・・・。


「むうーっ!」


『そんなに可愛いことしてもダメですよ』


「もうちょっとだけ!」


『ダメです』


「本当にちょっとだけ」


『行きますよ。ノウル、レドラ、早く行きますよ。どうしたんですか?』


ノウルとレドラはその場から動かない。不思議に思って、ラグワにおろしてもらって二人の側に行く。


「どうしたの?おなか、いたい?」


『『はあ、癒やされすぎる・・・』』


ノウルとレドラがなにか言ってる。意味がわからなくて助けを求めてラグワとルフラの方を見るけどラグワは意図的に目をそらし、ルフラは自分遊びをしていて、折れている木に齧りついていた。


子犬みたいでかわいいなあ。


そう思っていると、


きゅーっ


と小さい声が聞こえた。

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