第27話 モヤモヤが消えない
『――いない、こともない』
俺は
なんで俺がこんなにもモヤモヤしなければいけないのだろう。
実川さんに好きな人がいたとして俺には何も関係ないはずなのに……。
だが同際をしている時点で、関係ないことでもないのかもしれない。
もしも実川さんに彼氏が出来たりしたらこの生活は即終了、二度と再開できないかもしれない。
そんな時、俺は納得した状態で笑って祝福できるのだろうか。
「春くーんっ! あれ? 顔にしわ寄せてどうかしたの?」
「
いきなり俺の顔に豊満で健康体なおっぱいを押し付けてくる真弥さん。
嬉しいよりも苦しいの方が勝ってしまうので、羨ましそうに見てくる童貞男子諸君に変わってやりたい。
「真弥さんっ、いぎぐるじぐでこぎゅうがぁ・・・」
「ごめんごめんっ! 綾瀬くんがしょんぼりしてたから元気づけようと思って」
「そんなことしたら他の場所が元気になりそう……」
「綾瀬くんのエッチっ! バカ! 変態!」
「ごめんって……」
胸を弾ませてながら怒る真弥さん。全然話が頭に入ってこない。
流石にこれ以上はセクハラで訴えられそうなのでやめておこう。
「それで? どうして元気なかったの!」
「大したことじゃないし大丈夫だよ」
「それでもいい……教えて」
上目遣いでそのセリフ言われたら断りようがないので俺は仕方なく話すことにした。
「ふむふむ。それは、こいっ……いやなんでもない」
「えっ……。教えてくれないの?」
「その、えっと……」
椅子に座った真弥さんは下を向いてモゴモゴしながら少し間を空けて言った。
「教えたくない」
「え? なんで……」
「それも言いたくない」
いつもよりテンションが低くなる真弥さん。少しため息をついてから『紗希もかぁ……』と小さく呟く。
このモヤモヤした気持ちからはどうすれば開放されるのだろうか。
◆
「ヘイ!シリ、心がもやもやするのはどうして?」
『分かりません』
頼れる友達がAIと遊矢だけって……。俺、友達少な過ぎだわ。
改めて友達が少ないということを実感し萎え気味になる。
それに遊矢にはすでに、『飯の食い過ぎじゃね?』と言われているのでもうこれで相談できる人もいない。
ガチャッ……
「綾瀬くんおかえり! 今日の夕食はオムライスだよー」
「え! ほんと」
キッチンから実川さんオムライスを皿に乗せ運んできた。
そーいえば前よりも料理が上手くなった気がする。
スプンで卵を切ると中にはチーズが入っていて美味しそうなオムライス。ケチャップがしっかりかかっていて熱々のご飯からは小さく湯気が出ている。
「――美味しい?」
「うん。実川さんの料理なら一生食べてられるなぁー」
「へっ?!……。そーなんだ」
実川さんは驚いて後ろを向くと深呼吸した。
別に変なことは言ってないと思うんだけど……。
「あの、実川さん。もうすぐクリスマスだし何処か遊びに行かない」
「じゃあ横浜のイルミネーション見にいこうよ!」
「イルミネーション?」
「うん。この間、真弥と喋ってて冬はイルミネーションみたいなーってなったんだー」
「いいね。そうしよっか」
異性と二人きりでイルミネーションを見に行く……。
それって……デートだよね!?
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