第17話  木村さんと遊園地デート 1

 ――時刻は朝の10時過ぎ。


 今日はクラスメイトの天然おっぱい、木村真弥きむらまやに誘われ遊園地に来ている。いはゆる遊園地デートというヤツである。


 実川さんと一度パフェを食べに行った時もデートみたいなシチュエーションになったけどあの時は1,2時間のプチデートだったので今回が人生初デートみたいなもの。そして人生初のデートがまさかの木村さんになるとは思ってもみなかった。


 自分としてもこのデートは成功させたいんだが……。


「あの、木村さんくっつき過ぎじゃない?」

「いいのいいのぉー。綾瀬くんは今日一日限定で私の彼氏なんだからぁー」


 彼氏!?……一日限定だけど俺に、巨乳で可愛い彼女ができただと。

 年齢=彼女なしの壁を俺はついに破ることができたのか!


「それとぉー。今日は私の彼氏なんだから私のことは名前で呼んでね!」

「え、でも……」

「いいのいいのぉー。私は綾瀬くんのこと春くんって呼ぶからっ!」


 千葉のテーマパークじゃないのに夢の国みたい。

 今日一日だけど、下の名前で呼び合うなんてまるでリア充のようで今日はやたらと初が多い。


 それと今日の真弥さん(木村さん)はいつもとは少し雰囲気が違って、白とベージュのオシャレなワンピースでロングの綺麗な髪が目立つ秋って感じの可愛らしいコーデをしている。そのせいで今日はいつもより変に意識してしまう。


「あれぇー、もしかして春くん私の可愛さに見惚れてるな〜。どう?可愛いでしょ」

「うん、可愛いと思う」

「へっ……」


 正直な気持ちを伝えたら真弥はびっくりした顔をしてすぐに顔を赤くし、手をパタパタさせいる。


「……春くん意外と素直なんだね」

「まぁ、真弥さんが聞いてきたからね」


 もし実川さんだったら俺は赤面してからかわれてたんだろうな。

 そんなことを妄想していると真弥さんが突然腕を振り上げて俺の後ろを指差した。


「ソフトクリームだぁー。春くん、あれ食べよ!」

「真弥さんはソフトクリーム好きなの?」

「うん!大好き。ハンバーグの次ぐらいに好き!」

「いや、どんぐらいか俺わかんないじゃん」


 ――俺と真弥さんはそれぞれソフトクリームを買って店の隣に設置されている赤いベンチに腰を掛けた。


「ハルくんー。それ何味?」

「チョコとバニラのミックスだと思う。真弥さんのは?」

「私のは抹茶!最近ハマってて家でも抹茶アイスよく食べるんだー」


 真弥さんは豪快に抹茶味のソフトクリームにかぶりついてニコニコしている。

 口周りには抹茶アイスが付いてて可愛い。


 こういう所を気にしない女子も俺は意外と好きなのかもしれない。


「春くんっ!そのアイス一口ちょうだい!」

「でもこれ、俺が口つけて……」

「そんな事みれば分かるって。春くん潔癖けっぺきだった?」

「違うけど、真弥さんが嫌がらないかと思って……」

「そんなわけないよぉー」


 真弥さんとソフトクリームを交換して一口ずつ食べる。


「どう?」

「うん!美味しいー」


 その顔は幸せそうな満面の笑みで、風が綺麗な長い髪を靡かせて彼女を演出する。

 俺はその姿に俺は一瞬ドキッとして言葉がでなかった。


「ねぇ、私と関節キスできて嬉しんでしょぉー」

「そんなわけない!」


 こうして温かい日差しと涼しい風が吹く朝の遊園地で気持ちのいいデートがスタートした。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る