第5話 居候クール女子は悪役令嬢だったのか?
『――
この
「実川さんっ!? ダメだよ、俺たち付き合ってもないのにそんな事したら」
「え? なんで……そんな事って。ただ一緒に寝るだけだよね」
「寝るだけって、ん?……」
「もしかして実川くん。今やらしいこと考えてたでしょ」
実川さんの顔が無表情になり怖い。あれ、俺を誘ってたんじゃないの?……
今考えてみれば、実川さんみたいなS級美少女が俺みたいな陰キャ男子をわけ無くそういう行為に誘うわけがない。
「綾瀬くん。今日はアパートの外で野宿でもする?」
「とんだ勘違いうをしていました……野宿だけは勘弁してください」
俺は、最大級の謝罪ポーズDOGEZAをかましてカーペットに頭をこすり付けた。
少し間が空いてから頭に何かが乗る感触を感じる。
これは、実川さんが俺の頭に足を乗せてグリグリしてしる。多分。
まさか実川さん、本当は悪役令嬢だったのか!
「綾瀬くん、頭上げてみて」
「えっ……いいの?」
「うん」
そう言われ俺は頭をあげて実川さんの方を見るとマジックハンドで丸めたタオルを挟み俺の頭に押し付けていた。それになんか凄くニヤニヤしてるし。
「ごめん、ちょっとからかいたくなって。別に全然怒ってないから」
「まじかぁ……俺、実川さんがドSなのかと思ったよ」
「思った? ドSなのかもよ?」
一瞬寒気が走り怯える俺に実川さんは『冗談冗談』と笑いながら俺の表情を見て楽しんでいる。
まんまと俺は彼女に遊ばれてしまった。
お嬢様だからもっと堅い感じなのかと思っていたけど彼女は、全然普通の女の子だということに俺は気づいた。
――そういえば
◆
翌日の朝。
起きるとキッチンには実川さんが立って料理を作っていた。
エプロンをつけてキッチンに立つ姿は新妻って感じ。
俺がバカみたいな妄想をして物語に花を咲かせていると実川さんと目が合った。
「綾瀬くんおはよう。オニオンスープ作ったから食べてみて」
「あ、うん」
俺は実川さんが作ってくれた野菜たっぷりオニオンスープをレンゲですくい口に入れる。
「美味しい!朝から身体が温まっていいね」
「うん。オニオンスープは疲労回復にもいいし美味しいから一石二鳥なんだー」
朝起きたら自分の家で美少女がオニオンスープを作ってくれるなんて夢見たい……
もしかして俺一生分の運使い果たしたんじゃないよな。
「綾瀬くん――その、私と一緒にいて楽しい? 迷惑掛けてないかな」
「えっ、突然どうしたの?」
「だって私が無理言ってここに住まわせてもらってるし……綾瀬くんは私にして欲しいこととかないの?」
「ん……洗濯とか?」
「そんなんじゃなくて――少しえっちなことでもいんだよ?」
ちょっと実川さんなに言ってんだ?! 最近俺に対して色々と緩すぎないか?
でもこれはチャンスなのでは、言ってみる価値はある。
「――じゃあコスプレとかどう?」
「なんのコスプレ?」
「いや、別に決まったものはないけど」
「じゃぁ、ちょっと待ってて!」
そう言うと実川さんは俺の部屋をそそくさと出ていってしまった。
ていうかもうすぐ学校に行かなくちゃいけないのにどうしちゃったんだろ。
最近学校での実川さんと家での実川さんが違いすぎてたまに混乱する。
数分ほど経ち玄関のドアが開いて、実川さんが戻ってきたんだけど……。
「ちょっ!? なにその露出多めのセーターっ!」
「綾瀬くん、どう……これで満足?」
実川さんは背中がぱっくりと開いたいわゆる『童貞を殺すセーター』を着ていた。
ノースリーブで袖がないので白くて細い腕がスラリと見え、下半身には魅惑の絶対領域が……。なんか俺が悪いことしてるみたいじゃないか!?
ていうかこれで玄関の外歩いて来ちゃダメでしょ。
「あ、うん。可愛んだけど……露出多すぎるよね」
「そうかな……これくらいならいつでも着てあげるんだけど」
「いや、体張りすぎは良くないし。それに俺、手錠付けられるのも嫌だから大丈夫」
本心では惜しい気持ちが少なからずあるけどこれ以上やると法的にヤバそうなので諦めることにした。
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